【ニュース振り返り】介護職員のハラスメント対策、初のマニュアルが策定される―2019年4月前半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が、気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。平成最後の更新となる2019年4月前半は、介護職員の処遇がキーワード。介護職員が利用者やその家族から受けるハラスメント行為についての対策マニュアルが策定されたほか、平均給与が初の30万円越えとなったことが明らかになりました。早速振り返りましょう!

「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」策定―介護職員のハラスメントについての初のマニュアル(4/10)

厚生労働省は、4月10日に「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」を策定、公表しました。

今回策定されたマニュアルは、厚労省が民間企業に委託して実施した、介護現場でのハラスメントについての研究事業の中で作成されたもので、昨今問題視されている「介護現場でのハラスメント対策」に関する初めてのマニュアルとなります。
3月にはハラスメントの実態について初の調査結果も公表され、対策が大きく進む形となりました。

公表された調査結果によると、これまでに利用者本人からハラスメントを受けたことがある介護職員の割合は4~7割と、多くの現場で発生していることがわかります。
サービス種別でみても、訪問系サービス、施設系サービスのいずれも高い割合となっており、介護老人福祉施設が最多(70.7%)となりました。

対して、家族からのハラスメントについては1~3割程度と、利用者本人のケースと比較してやや少なくなります。
サービスの種別については、施設系サービスより、訪問介護、訪問看護といった訪問系サービスの方が発生割合が高い傾向がみられ、最多は居宅介護支援(29.7%)となります。

そして、ハラスメントを受けた結果、けがや病気になった職員は1~2割、仕事を辞めたいと思ったことのある職員は2~4割であり、そのうち、実際に仕事を「辞めたことがある」との回答は 1.8~11.6%であることが明らかになっています。現場でのハラスメントが退職の原因となるうることも明確になった形です。

今回公表されたマニュアルでは、現時点では、多くの事業者で対策が不十分であると指摘しており、ハラスメントを受けたことを相談しにくい雰囲気が職場にあるとの意見や、職員が自分さえ我慢すればおさまると、自分の中だけで抱え込んでしまうケースも見られるとの声にも触れています。

今後行うべき対策として、事業者は組織的な対策を行うほか、職員への適切なケアの研修、個別ケースの応対事例など、ハラスメント防止につながるスキルを身に付けられる場を作る。また、それでも対処できない場合は、医師などの他職種や、法律の専門家、行政(保健所・地域包括支援センター)、警察など他の専門家と連携することなどがまとめられています。

千葉県:「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」について

https://www.pref.chiba.lg.jp/koufuku/kaigohoken/harasumentomanual.html

株式会社三菱総合研究所:介護現場におけるハラスメントに関する調査研究報告書

https://www.mri.co.jp/project_related/roujinhoken/uploadfiles/h30/H30_144_2_report.pdf

介護職員の平均給与、初の30万円越えへ(4/10)

厚生労働省は、10日の社会保障審議会で、2018年度の介護従事者処遇状況等調査の報告書案を公表しました。
介護職員の平均給与額は30万970円で、前年度より10,850円増加。2009年の調査開始以降、初めて30万円を超える結果となりました。

今回の調査は、全国10,670の介護施設・事業者(以下、施設等)に対して行われ、7,908施設等から回答を得ました。
介護職員の平均給与は30万970円、基本給額(月額)は18万1,220円(前年度17万7,990円)といずれも前年度より増加しています。

なお、今回報告された平均給与額は、基本給額に手当と賞与などの一時金を合計した金額となっています。

介護職員の平均給与が過去最高となったのには、「介護報酬改定」と「介護職員処遇改善加算」が背景にあります。

介護報酬については、2018年4月改定で0.54%プラス改定となっており、介護職員処遇改善加算の取得状況については、91.1%の施設が何らかの加算を取得していることが明らかになりました。
特に、最も加算額が大きい、加算(Ⅰ)(37,000円相当)については69.3%と多くの施設が取得していることがわかりました。

しかし、全産業の平均給与額(2017年調査:36万6000円)と比較すると、いまだに低い水準であることも明らかに。
政府は、2019年10月の消費税増に合わせて、介護職員の処遇改善を改めて行うことを明言していますが、人手不足解消のためにも今後も重点的な取り組みが必要であると考えられます。

厚生労働省:第170回社会保障審議会介護給付費分科会(ペーパーレス)資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000202420_00017.html

厚生労働省:労働統計要覧

https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/index-roudou.html

国立がん研究センター、がん5年生存率、10年生存率の最新データ公開(4/9)

国立がん研究センターは、がんの5年生存率、10年生存率についての最新データを公表しました。
今回集計されたがんの診断治療症例について、5年生存率については67.9%(部位:22種)、10年生存率は56.3%(部位:18種)と、どちらも前回調査時より延伸していることがわかりました。

今回公表されたデータは、全国がんセンター協議会に加盟する32の医療機関で診断治療を行った症例を基に集計されています。
5年生存率については、2008~2010年の14万例を、10年生存率については2002~2005年の7万例がまとめられています。

なお、公表された生存率は、がん以外の死因による死因を取り除き、補正した「相対生存率」となっています。

5年生存率については全部位で67.9%となり、前回調査時(2007~2009年)の67.6%から微増しています。
国立がん研究センターによると、化学療法や放射線治療、早期発見技術が向上していることが要因とのことで、初回調査(1997~1999年:62.3%)から徐々に伸び続けています。

部位別の結果は次の通りで、ほとんどの部位で生存率は上昇しているものの、一部については低下しているものもあります。

<がんの部位別 5年生存率>

90%以上 前立腺(100%)、乳(93.9%)、甲状腺(92.8%)

70%以上 90%未満 子宮体(85.7%)、大腸(76.6%)、子宮頸(76.2%)、胃(74.9%)など

50%以上 70%未満 卵巣(64.4%)

30%以上 50%未満 肺(43.6%)、食道(45.9%)、肝(36.4%)

30%未満 胆のう胆道(28.0%)、膵(9.2%)

つづいて10年生存率については56.3%と、こちらも前回調査(2001~2004年分)の55.5%より増加していることがわかりました。

部位別の結果は次の通りとなりますが、こちらも5年生存率と同様、ほぼ全ての部位で生存率が上昇している一方、一部については低下しています。

<がんの部位別 10年生存率>

90%以上 前立腺(95.7%)

70%以上 90%未満 甲状腺(84.3%)、子宮体(80.0%)、乳(83.9%)など

50%以上 70%未満 大腸(66.3%)、胃(64.2%)、腎(63.3%)、子宮頸(69.0%)など

30%以上 50%未満 卵巣(45.0%)、肺(31.0%)、食道(30.3%)など

30%未満 胆のう胆道(16.2%)、肝(14.6%)、膵(5.4%)など

また、今回の報告では、ステージごと(Ⅰ~Ⅳ)の生存率についてもまとめられており、いずれのがんについても早期発見の場合、生存率が高くなることが明らかになりました。

ステージⅠであれば、前立腺がん(5年生存率、10年生存率)、乳がん(5年生存率)の生存率は100%であるほか、患者数が多い胃がん、大腸がんについても5年生存率はほぼ100%、10年生存率も90%ほどであることが報告されています。検診などによる早期発見が大切であるかがわかる結果となりました。

国立がん研究センター:プレスリリース「全がん協加盟がん専門診療施設の診断治療症例について5年生存率、10年生存率データ更新」

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2019/0409/index.html

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