【ニュース振り返り】70歳代の認知症患者数、10年間で10%減へ。認知症予防についての数的目標を政府が初提示ー2019年5月後半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が、気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。2019年5月後半は、政府が70歳代の認知症有病率について初の数的目標を設定したほか、WHOの新ガイドラインが明らかになりました。そして、災害時医療に関する話題についてもご紹介します。では、早速振り返りましょう!

70歳代の認知症患者数、10年間で10%低下へー新大綱の具体案が明らかに(5/16)

政府は、16日に開催された、認知症施策推進のための有識者会議で、新オレンジプランに代わる大綱の素案を公表しました。
認知症予防について初の数値目標が設定され、70歳代での認知症の患者数を今後6年間で6%、10年間で10%低下させることを目標としています。

政府は、現在、2015年に策定された「新オレンジプラン」に沿って、認知症患者との「共生」を目指した施策を実施しており、地域や職域で認知症の人や家族の手助けをする「認知症サポーター」の養成や、認知症の人やその家族が地域の方や専門家と情報共有を行う「認知症カフェ」の設置を推進しています。

認知症の「予防」については、近年の研究で、運動や適切な食事、人との交流によって、発症を遅らせることが可能であること明らかになりつつありますが、現状では政策上の対策が不十分であることが課題として指摘されていました。

そこで、新たに作成される大綱では、認知症患者との「共生」だけでなく、認知症の「予防」についても重点課題として設定。
今回の会議で、「予防」に関する数値目標が提示されました。

具体的には「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせる」と設定しており、これを有病率に置き換えると、「10年間で認知症患者が1割が低下する」ということになります。
団塊世代が後期高齢者となる6年後(2025年)には、6%低下させることができるとしています。

大綱については、引き続き検討が進められ、6月頃には閣議決定される見通しです。

内閣府:認知症施策推進のための有識者会議(第3回)議事次第

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ninchisho_kaigi/yusikisha_dai3/gijisidai.html

認知症予防には運動、食事、禁煙が大切!WHOの新ガイドラインが公表される(5/20)

WHOは、認知症予防に関する新たなガイドラインを公表しました。
適度な運動、食事、禁煙などの生活習慣によって認知症のリスクが軽減されると提言しています。

WHOによると、全世界の認知症患者数は約5000万人で、毎年1000万人が新たに罹患すると推計されています。
患者はこのまま増加し続ける見込みで、適切な対策がなされないままでは、2050年には患者数が1.5億人に到達すると予測されています。

近年の研究で、認知症の発症において、加齢などのほか、運動不足や喫煙習慣、不健康な食事、過剰な飲酒といった生活習慣や社会的孤立などの様々なリスクが影響を与えていることが明らかになりつつあります。

今回WHOが作成したのは、認知症のリスクを軽減する生活習慣についてのガイドラインで、適度な運動、禁煙、健康的な食事、飲酒制限、社会的活動など12の項目からなります。

運動については、65歳以上の高齢者は、強度が中程度の有酸素運動を週に150分以上行うこと、食事については、イモ類は除く野菜やフルーツを毎日400g以上摂取することなどを推奨しています。
一方でビタミンB、E、多価不飽和脂肪酸をサプリメントで摂取することについては、臨床上必要な場合を除いて推奨しないとのことです。

World Health Organization:Risk reduction of cognitive decline and dementia WHO Guidelines

https://www.who.int/mental_health/neurology/dementia/guidelines_risk_reduction/en/

災害拠点病院、機能維持のための電気・水の確保についての指定要件、見直しへ(5/23)

厚生労働省は、23日に開催された災害医療提供体制等の在り方に関する検討会で、災害拠点病院の電気・水の確保に関する新たな指定要件を提示しました。
備蓄燃料の確保が明言されたり、飲料水以外の水の量についての要件が設定されたりと、現行より具体的な内容となる見通しです。

現在、災害拠点病院の指定にあたっては、東日本大震災での経験を踏まえ、次の要件が定められています。

電気

  • 通常時の6割程度の発電容量のある自家発電の保有
  • 3日間程度の燃料を確保

  • 適切な容量の受水槽の保有、停電時にも使用可能な井戸設備の整備、優先的な給水協定の締結等により、災害時の診療に必要な水を確保すること(具体的な量についての規定はなし)。
  • 飲料水の備蓄(3日分程度)

しかし、2018年に相次いだ自然災害を受け、災害拠点病院(736施設が対象)などに対して行われた緊急点検では、自家発電設備用の燃料確保や、給水設備・受水漕の設置状況について、多くの病院で不備があることが明らかになりました。

特に燃料備蓄については、タンクの容量が不十分(非常用自家発電設備の燃料タンクの容量で病院の診療機能を維持できる期間が3日未満)である災害拠点病院が114施設と、全体の約15%を占めることがわかりました。

この現状を踏まえて、厚労省は整備にかかる費用の補助を行う方針を示したほか、指定要件の見直しについても昨年から検討を行ってきました。
そして、今回の会議で新要件についての具体案が明らかになりました。

見直し後(電気)

  • 自家発電機の容量についての要件は、現状の「6割程度の発電容量のある自家発電機等」のまま。
  • 燃料の備蓄がないまま、外部のインフラが損壊すると、電力供給が継続できなくなるおそれがあるため、備蓄燃料を確保することを明示する。また、都市ガスの場合、LPガスや他の電力系統(都市ガスを除く)への切り替えによる備蓄について規定する。

見直し後(水)

  • 飲料水だけでなく、少なくとも3日分の病院の機能を維持できる水の確保が望ましい。水の確保にあたっては、受水槽、または停電時にも利用可能な地下水利用のいずれを用いてもよい。

見直し後は、備蓄燃料の確保が明言されたり、飲料水以外の水の量について要件が設定されたりと、より具体的な要件となっていますね。
今後、指定要件の改正に向けた作業が進められる予定とのことです。

厚生労働省:第14回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04876.html

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