【ニュース振り返り】日本人の死因、第3位に「老衰」が浮上ー2019年6月前半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が、気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。2019年6月前半は、日本人の死因の第3位に「老衰」が浮上したことが明らかになったほか、アルツハイマー型認知症の悪化につながるタンパク質が特定されるなど、興味深いニュースが多くみられました。では、早速振り返りましょう!

日本人の死因の第3位「老衰」に-2018年人口動態統計月報年計が公表(6/7)

厚生労働省は、2018年の人口動態統計月報年計を公表しました。
日本人の死因の第3位が、昨年の脳血管疾患に代わり、老衰となったことが明らかになりました。

人口動態統計は、日本の人口動態事象を把握し、人口と厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的に毎年実施されているもので、出産、死亡、結婚、離婚などの実態について取りまとめたものとなります。

出生数は、91万8397人で、前年の94万6065人より2万7668人減少。
2015年に5年ぶりに増加しましたが、その後再び減少していることから一時的な変化であったことが伺えます。
出生率(人口千対)についても7.4と、前年の7.6より低下していることがわかりました。

一方で、死亡数については、136万2482人で、前年の134万397人より2万2085人増加しており、死亡率(人口千対)についても11.0と、前年の10.8より上昇しています。

そして、出生数と死亡数の差である自然増減数については、マイナス44万4085人で、前年と比較して4万9753人がさらに減少したこととなります。12年連続で減少し続けており、人口減少に歯止めがかからない状況となっています。

死因については、第1位は悪性新生物<腫瘍>(37万3547人。死亡率:300.7)で、第2位が心疾患(高血圧性を除く)(20万8210人。死亡率:167.6)となりました。全死亡者に占める割合は、がんについては27.4%と非常に高い割合を占めており、約3.6人に1人が亡くなっている計算に。また、心疾患については15.3%と、上位2位だけで4割以上の人が亡くなっていることになります。

そして、今年第3位となったのは老衰(10万9606人。死亡率:88.2)で、昨年第3位だった脳血管疾患に代わり順位が上昇しました。老衰については、2001年以降増加しつづけており、2018年の全死亡者に占める割合は8.0%となっています。今後、高齢化がさらに進むことにより、老衰による死亡者も増えると見込まれることから、死因の上位として適切な対応策を検討する必要があると考えられます。

その他の死因については、第4位は脳血管疾患(10万8165人。死亡率:87.1)で、第5位が肺炎(9万4654人。死亡率:76.2)となります。

厚生労働省:平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/index.html

ポリファーマシー、療養環境ごとの留意事項は―「高齢者の医薬品適正使用の指針」各論編(療養環境別)が発出(6/14)

厚生労働省は、14日に「高齢者の医薬品適正使用の指針」の各論編(療養環境別)を公表しました。
今回発出されたのは、昨年5月から導入されている「高齢者の医薬品適正使用の指針」の詳細版で、患者の療養環境ごとの留意事項をまとめたものとなります。

現在、高齢者の多くは複数の薬を併用しており、その結果、薬同士の相互作用で副作用が発生しやすくなることが、かねてから問題視されていました。
多剤服用の中でも害をなすものは「ポリファーマシー」と呼ばれ、これを防ぐために、昨年5月に「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」が取りまとめられました。
ふらつき・転倒、記憶障害など、副作用と疑われる症状が現れた場合には、処方の中止・減量を行うことが求められているほか、病院から処方された薬だけでなく、一般用医薬品や健康食品(サプリメント)についても医療機関が服用状況を把握するよう、方針が示されています。

今回公表された各論編は、患者の病態、生活、環境によって留意すべき点が変化することを踏まえて、療養環境ごとに医療従事者がの注意すべき事項がまとめられたものとなっています。
「外来・在宅医療・特別養護老人ホーム等の常勤の医師が配置されていない施設」、「急性期後の回復期・慢性期の入院医療」、「その他の療養環境(常勤の医師が配置されている介護施設 等)」の3部構成となっています。

「外来・在宅医療・特別養護老人ホーム等の常勤の医師が配置されていない施設」については、在宅医療への環境移行時の留意事項が複数挙げられています。

地域のかかりつけ医が、退院前カンファランス等を活用して、病院の専門医から処方内容を含めた治療の状況及び処方理由を的確に引き継ぎ、退院後の生活にあわせた処方を検討することのほか、サポート状況次第で入院時と同じ薬剤の管理、服用が難しくなる可能性があることを踏まえ、ケアに関わる多職種の関係者で情報を共有し、療養環境に合わせた処方の見直しや服薬支援の方法を検討する必要があることなどがまとめられています。

厚生労働省:「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))について」の通知発出について

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05217.html

理化学研究所、アルツハイマー病の悪性化に関わるタンパク質を発見(6/4)

理化学研究所(理研)は、脳神経科学研究センターの研究チームが、「CAPON」というタンパク質がアルツハイマー病を悪化させることを発見しました。
今後、CAPONの機能を阻害する医薬品や手法が開発されれば、アルツハイマー病の進行を抑えられる可能性があるとのことです。

アルツハイマー型認知症は、認知症患者の半数を占めることが明らかになっており、高齢化がどんどん進行する日本において、治療法や予防法の確立が求められています。

病理形成機構としては、「アミロイドカスケード仮説」が支持されています。
この仮説は、アミロイドβペプチド(Aβ)が脳の神経細胞外に凝集・沈着すること(アミロイド病理)が引き金となって、タウタンパク質がリン酸化し、凝集し、神経原線維変化(タウ病理)が起こります。
その結果、神経細胞死に至る、というものです。しかし、アミロイド病理からタウ病理形成、神経細胞死への遷移機構は不明でした。

研究チームは、タウ病理形成に関わるタンパク質を解析し、たんぱく質「CAPON」がタウタンパク質と結合することを発見。
つづいて、ヒトのアルツハイマー型認知症患者と同様に、アミロイド病理を再現するマウスの脳の海馬にはCAPONが蓄積していることを突き止めました。

さらに、タウタンパクが発現するよう作製されたマウスと、アミロイド病理を再現するマウスを掛け合わせたモデルマウスにCAPONを過剰出現させると、タウ病理と神経細胞死が起き、海馬が萎縮することがわかりました。
逆に、タウ病理と神経細胞死を再現するマウスにCAPON遺伝子を欠損させると、脳の萎縮が抑制されることも明らかになりました。

今回の研究で、CAPONがアルツハイマー型認知症において、タウ病理形成・神経細胞死の促進に重要な役割を果たすことがわかりました。
今後、アルツハイマー病の新しい治療法開発につながるかもしれません。

なお、この研究は、英国のオンライン科学雑誌『Nature Communications』(6月3日付け)に掲載されました。

理化学研究所:プレスリリース(201964日)「アルツハイマー病の悪性化に関わるタンパク質の発見-タウタンパク質の凝集と脳の萎縮を加速する-」

http://www.riken.jp/pr/press/2019/20190604_2/#note10

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