【ニュース振り返り】認知症対策の新大綱、閣議決定される―2019年6月後半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。2019年6月後半は、認知症対策の新大綱と高齢社会白書が閣議決定されたほか、認知症による行方不明者の統計が明らかになるなど、認知症に関連する話題が豊富にみられました。それでは早速振り返りましょう!

ポイントは「共生」と「予防」-認知症対策の新大綱、閣議決定される(6/18)

政府は、18日に認知症対策の新大綱を閣議決定しました。団塊の世代が75歳以上となる 2025年までが対象期間で、認知症の人との「共生」と「予防」の両面で施策を行う方針が示されました。 

今回取りまとめられた大綱は、2015年に策定され、認知症の人との「共生」を目指す施策が行われた「新オレンジプラン」の後継と位置付けられており、「共生」面での対策の見直しが行われたほか、新たに「予防」面での対策が追加されることとなりました。

共生、予防の両面から重点的に取り組む柱として挙げられたのは、次の5点となります。

1. 普及啓発・本人発信支援

2. 予防

3. 医療・ケア・介護サービス・介護者への支援

4. 認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援

5. 研究開発・産業促進・国際展開

それぞれのポイントを簡単にご紹介します。

1. 普及啓発・本人発信支援

従来取り組んでいた、認知症サポーターの養成のほか、日常生活で触れ合うことが多い、小売業・金融機関・公共交通機関等の従業員等に向けた養成講座の開催機会の拡大が実施されます。

また、認知症の人本人が自らの体験や想いを発信する機会が増えるよう、普及啓発に取り組む「認知症の人本人からの発信支援」についても盛り込まれました。

 

2. 予防

「予防」については、「認知症にならない」というわけではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」ことを目指す施策が挙げられました。

具体的には、「高齢者の通いの場の拡充」がこれに該当し、介護予防に資する通いの場への参加率を8%程度に高めるという数的目標も設定されました。
また、予防につながる活動事例や、エビデンス収集も行うとのことです。

なお、5月に提案された「70代で認知症の人を10年間で1割減らす」という数的目標については、取り下げとなっています。

 

3. 医療・ケア・介護サービス・介護者への支援

認知症の人の早期発見・早期対応のために、かかりつけ医、地域包括支援センター、認知症地域支援推進員、認知症初期集中支援チーム、認知症疾患医療センターなどの質向上と連携を目指す施策が該当します。

そのほかに、医療・介護従事者に向けた認知症対応力を向上するため研修や、家族介護者の負担軽減に向けた取り組みも実施される見込みです。

 

4. 認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援

認知症になってからも、できる限り住み慣れた地域で普通に暮らし続けていくために障壁を減らしていく「認知症バリアフリー」の取組を推進しています。認知症バリアフリーを実現するまちづくりや、企業、商品・サービス開発の支援のほか、成年後見制度の利用促進なども実施されます。

 

5. 研究開発・産業促進・国際展開

認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルなどの研究開発を推進する施策が行われます。

日本の認知症の人の数は、2012年時点で約462万人で、約7人に1人が該当するといわれています。今後も増加が続く見込みで、2025年には約5人に1人になるとの推計もあります。この大綱を通して、社会がどのように変化するのか、今後の動向に要注目です。

 

首相官邸:認知症施策推進関係閣僚会議(第2回)議事次第

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ninchisho_kaigi/dai2/gijisidai.html

高齢者の51.0%、最期を迎えるなら「自宅」で-高齢社会白書が閣議決定(6/18)

政府は、18日に2019年度版の高齢社会白書を閣議決定しました。
60歳以上の人の約半数(51.0%)が自宅で最期を迎えることを希望していることが明らかになり、改めて在宅医療の重要性が浮き彫りになった形となりました。

今回の調査では、日本の高齢化の現状や政府の対策状況などに加えて、「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」として、住宅や地域生活、車の運転の状況など、生活環境に関する調査が行われました。

 

まずは、日本の高齢化の現状についてご紹介します。

65歳以上の高齢者人口は3,558万人(2018年10月1日時点)で、総人口に占める割合(高齢化率)は28.1%。このうち、75歳以上の高齢者(後期高齢者)は1,798万人で、総人口に占める割合は14.2%と、特に後期高齢者の割合が大きくなっていることがわかりました。
今後も65歳以上の高齢者人口は増加が続く見通しで、団塊の世代が後期高齢者となる2025年には3,677万人に達すると予想されています。

 

つづいて、高齢者の生活環境(全国の60歳以上の男女1,870人が回答)について、注目すべき点を少しだけご紹介します。

回答者の9割近くは持ち家に住んでおり、ほとんどが現在住んでいる地域にこのまま住み続ける予定であると回答しています。さらに、最期を迎える場として「自宅」を希望する人は約半数で、住み慣れた地域に可能な限り住み続けたいと考える高齢者が多いことが改めて明確になりました。

また、今回の調査では、「孤立死」についての質問が設けられており、孤立死を身近に感じるかどうかについて、34.1%が「身近に感じる」と回答していることが明らかになりました。

 

では、高齢者が安心して生活し続けるために必要なものとは、一体どのようなものなのでしょうか。
家族や親族の支援や、かかりつけ医など医療面での支援など、様々な選択肢の中で、最も多くの高齢者が選んだのは「近所の人との支え合い」でした。
地域のつながりを活かした高齢者の見守り・サポート体制の構築が求められます。

 

認知症による行方不明者、過去最多の1.7万人に(6/20)

警察庁は、2018年の1年間で届出のあった行方不明者の状況を公表しました。
行方不明者数は全体で87,962人で、そのうち認知症又はその疑いによるものは過去最多の16,927人(構成比19.2%)となりました。

認知症による行方不明者は、統計を取り始めた2012年以降増加し続けています。年齢別では、特に60歳代以上の高齢者が多くを占めており、80歳代が最多の8857人、70歳代が6577人、60歳代は1353人と、年齢が高くなるほど増加する傾向がみられました。

行方不明後の所在については、96.2%(16,227人)はその後無事が確認されており、確認までにかかった期間についても、届出が受理された当日中が73.4%、2日~7日間が26.0%と、比較的早期に確認されています。
一方で、死亡が確認されたのは、508人(3.0%)となりました。

冒頭の認知症対策大綱の話題でも触れましたが、2018年の統計では65歳以上高齢者の約7人に1人が認知症と見込まれており、団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降、さらに増加することが見込まれています。
認知症対策大綱でも、認知症の人が行方不明になったときに早期発見・保護ができるよう、地域との連携やICTを活用した捜索システムの構築を目指すことが明記されており、今後の対策が急務といえます。

認知症による行方不明者の情報については、警察庁、厚生労働省がウェブサイト上にまとめています。

警察庁:平成30年における行方不明者の状況について

https://www.npa.go.jp/news/release/2019/20190614001.html

厚生労働省:行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000052978.html

警察庁:行方不明者に関する情報提供のお願い

https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/fumei/

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