【ニュース振り返り】在宅医療的ケア児だけでなく、その兄弟姉妹にも在宅で定期予防接種を―2019年8月前半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。猛暑が続く8月前半は、在宅医療的ケア児とその兄弟姉妹の定期予防接種についての要望書の内容が公表されたほか、増加する高齢の労働者の労災対策について、厚労省の最新動向が明らかになりました。それでは早速振り返りましょう!

在宅医療的ケア児だけでなく、その兄弟姉妹にも在宅で定期予防接種を-日本小児科学会、要望書を提出(8/1)

日本小児科学会は、1日、日本医師会に「在宅で医療的ケアを必要とする児及びその同胞に対する定期予防接種の実施に関する要望書」を提出しました。
在宅医療的ケア児が居住地域以外の市町村でケアを受けている場合、ケア児やその兄弟姉妹が訪問診療時であっても定期予防接種が受けられない市町村があることを指摘。
医療機関の所在地にかかわらず、定期予防接種を適切に接種できるような環境の整備に向け、日本医師会に協力を要請しました。

医療の高度化によって助かる命が増え、在宅で医療的ケアを必要とする小児(在宅医療的ケア児)の数も増えています。
基礎疾患を有する在宅医療的ケア児が、感染症にかかると重症化する恐れがあることから、予防接種による感染予防は必要不可欠です。
そして、在宅医療的ケア児にとっては家庭での生活がほぼすべてであることから、感染症の感染経路は、主に兄弟姉妹からになると考えられ、兄弟姉妹への予防接種も大切になります。
しかし、在宅児の介護のため時間的に余裕のない保護者にとっては、兄弟姉妹の定期予防接種のために時間を割くことが難しいとも考えられます。

そこで、在宅医療ケア児にとって身近な存在である医療機関やかかりつけ医を活用したいところですが、小児への在宅医療を提供可能な医療機関数は不十分であり、居住地とは異なる市町村の医療機関を利用するケースも見られます。
しかしこの場合、在宅医療的ケア児への訪問診療時に定期予防接種を実施しようとしても接種を認めない、または医療的ケア児への接種を認めても、兄妹姉妹への接種を認めないという自治体が一定数存在しており、予防接種を受けづらい環境であると日本小児科学会は指摘しています。

日本小児科学会は、今回の要望書を通して、都道府県医師会に対し、在宅児を取り巻く現状と問題点について理解してもらうとともに、医師会がある市町村と協力して、円滑な定期予防接種を医療機関の所在地に関わらず実施できるよう、調整を要請しています。 

厚生労働省の定期接種実施要領では、「通常の方法により定期接種を受けることが困難な者等が定期接種を受けることを希望する場合には、予防接種を受ける機会を確保する観点から、居住地以外の医療機関と委託契約を行う、・・・等の配慮をすること。」と記されており、日本小児科学会はこれに則り、定期予防接種が困難な医療的ケア児と、その兄弟姉妹への配慮の必要性を要望した形となります。

日本小児科学会:在宅で医療的ケアを必要とする児及びその同胞に対する 定期予防接種の実施に関する要望書

http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/zaitakuji_yobousesshu20190728.pdf

高齢の労働者の労災対策、指針策定に向けた検討を開始(8/5)

厚生労働省は、5日、「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」の第一回会議を開催しました。
高齢化が進むとともに増加しつつある、高齢の労働者の健康、安全確保についての議論が行われ、今後労災防止に向けた指針の策定などが行われる予定です。

日本社会の高齢化は年々進行しており、2065年には高齢化率が40%近くになると推計されています。
そんな中、60歳以上の労働者も増加し続けており、2018年時点の全雇用者に占める60歳以上の割合は17.2%となっています。
また、2013年の内閣府調査では、60歳を過ぎても働きたいと回答した人が全体の約80%、65歳を過ぎても働きたいと回答した人が約半数を占めるなど、勤労意欲が高いことに加え、政府も希望者は70歳まで勤務できるように高年齢者雇用安定法を改正する方針を示していることから、今後高齢の労働者がより一層増えることが見込まれています。

これと同時に、高齢の労働者による労働災害も増加しています。
厚労省によると、2018年の休業4日以上の死傷者数のうち、60歳以上の割合は26%と、過去10年間で8ポイント増加していることが明らかになっているほか、労災の発生率についても、最小となる30歳前後と比較し、70歳前後の高年齢労働者については、男性で2倍、女性で5倍にもなると報告されています。
また、事故の種別を見てみると、社会福祉施設での腰痛が増加傾向にあるとのことです。

今後、会議では、高齢の労働者の特性に配慮した安全衛生教育や、労災防止に向けた安全対策、健康確保対策について、ハード面、ソフト面の両面で検討を進めるとのことで、年内に企業向けのガイドラインの素案を示す予定とのことです。

厚生労働省:第1回「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06087.html

がんの5年生存率、全体で66.1%に-国立がん研究センターの最新統計公表(8/8)

国立がん研究センターは、がん診療連携拠点病院等で収集された情報を基に集計した、院内がん登録2012年の3年生存率、2009年から10年の5年生存率を公表しました。
がん診療連携拠点病院等の3年生存率の統計は2回目、5年生存率は4回目で、3年生存率については今回の調査からに喉頭・胆嚢・腎・腎盂尿管が集計部位に追加されました。

今回公表されたのは、(1)2012年の院内がん登録データを用いた3年生存率(286施設)、(2) 2009年、2010年の2カ年分のデータ(277施設)を基に、施設別に部位・病期別に集計された5年生存率の2種となりますが、今回は(2)の5年生存率についてご紹介します。
なお、生存率については、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた「実測生存率」と、がん以外の死因による死亡などの影響を取り除くための調整を行った「相対生存率」があります。

5年生存率については、全施設で実測生存率は58.6%(前回58.5%)、相対生存率は66.1%(前回65.8%)となり、微増していることが明らかになりました。

部位別では11カ所についてまとめられており、以下の通りとなります。部位によって治療の難しさが異なるため、生存率に大きな違いがありますが、いずれの部位についても、病期については早期発見の場合の方が生存率が高くなる傾向がみられると報告されています。
がんの早期発見・治療の重要性が改めてうかがえる結果となりました。

<部位別の5年生存率(%)>

・ 胃:(実測)61.9、(相対)71.6

・ 大腸:(実測)63.7、(相対)72.9

・ 肝臓:(実測)34.9、(相対)40.0

・ 肺、気管:(実測)35.6、(相対)40.6

・ 女性乳房:(実測)88.2、(相対)92.5

・ 食道:(実測)39.2、(相対)44.4

・ 膵臓:(実測)8.6、(相対)9.6

・ 前立腺:(実測)82.7、(相対)98.6

・ 子宮頚部:(実測)72.6、(相対)75.3

・ 子宮内膜:(実測)79.0、(相対)82.1

・ 膀胱:(実測)56.7、(相対)69.5

なお、以前ご紹介した全国がんセンター協議会(全がん協)の5年相対生存率と比較すると、胃、大腸などが若干低い数値となっていますが、対象患者の背景の事情(年齢、手術の有無、併存疾患の有無やその程度等)などが影響していると考えられ、大きな差異はないとのことです。

【ニュース振り返り】介護職員のハラスメント対策、初のマニュアルが策定される―2019年4月前半のニュース3選

2019.04.23

国立がん研究センター:プレスリリース「がん診療連携拠点病院等院内がん登録20123年生存率、2009年から105年生存率公表 喉頭・胆嚢・腎・腎盂尿管癌3年初集計」

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2019/0808_1/index.html#h-2

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