【ニュース振り返り】厚労省の概算要求、過去最大の32兆円超に―2019年8月後半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。8月後半は、来年度の厚労省の予算概算要求の詳細が明らかに。社会保障費の増大により、過去最大規模の32兆円超となりました。また、iPS細胞に関する明るいニュースもご紹介します。それでは早速振り返りましょう!

厚生労働省の概算要求、過去最大の32兆6,234億円に(8/28)

厚生労働省は、28日、2020年度予算の概算要求の内容を明らかにしました。要求額は32兆6,234億円(今年度比6,593億円増)と過去最大規模で、その大半を年金(30兆5269億円)が占める形となりました。
なお、高齢化に伴う自然増加分は5300億円となります。

今回の概算要求で、重点要求とした挙げられたのは、次の3点となります。

Ⅰ.多様な就労・社会参加の促進

Ⅱ.健康寿命延伸等に向けた 保健・医療・介護の充実

Ⅲ.安全・安心な暮らしの確保等

このうち、在宅医療に深く関係するのは、「Ⅱ.健康寿命延伸等に向けた 保健・医療・介護の充実」です。

まず、地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域医療構想・医師偏在対策・医療従事者働き方改革の推進に979億円を要望しており、地域医療介護総合確保基金の確保や、医師少数区域等の医師の勤務環境の改善などに取り組むとしています。
そのほかに、災害医療体制の充実については98億円を、前回のブログで紹介した認知症施策推進大綱の推進については135億円を要求しています。
介護については、介護の受け皿整備、介護人材の確保に向けて、811億円を要望しています。

健康寿命の延伸に向けた予防・健康づくりに関連する施策についても、引き続き注力するとのことで、1,025億円が計上されています。
具体的には、高齢者齢者の保健事業と介護予防・フレイル対策の一体的な実施の推進などに取り組むとしています。

また、重点要求「Ⅰ.多様な就労・社会参加の促進」では、高齢者の雇用についても言及されており、高齢者の就労・社会参加の促進についての予算として、313億円を要求しています。
65歳以上でも働き続けることができるよう、ハローワークの生涯現役支援窓口を増設するほか、65歳以上の高齢者の継続雇用に向けて環境整備を行う企業に対して、助成金による支援を行うなどの取り組みを実施するとのことです。

厚生労働省:令和2年度厚生労働省所管予算概算要求関係

https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/20syokan/

特養の約7割が人手不足。要因は「介護業界内での競合」-福祉医療機構、2018年度「介護人材」に関するアンケート調査結果を公表(8/21)

福祉医療機構は、特別養護老人ホームを対象とした「介護人材」に関するアンケートの、2018年度版の調査結果を公表しました。

72.9%の施設が人手不足と回答しており、うち12.9%が特養の本体施設または併設施設への利用者の受入れを制限をしていることが明らかに。
受け入れ制限している施設の利用率は平均82.2%で、13.9床が空床であると報告されています。

今回の調査は、全国の特養3,561施設のうち、回答があった853施設が対象となっています。全施設のうち、要員が「不足している」と回答した施設は72.9%に上り、16年度調査(46.9%)、17年度調査(64.3%)につづいて、状況が年々悪化しています。

不足している要員数は平均3.75人で、職種については、99.0%が「介護職員」、32.6%が「看護職員」と、介護職員の不足が特に深刻であることがわかります。

また、要員不足への対応策として、96%の施設が求人活動を実施するなどの対策を行っていますが、「近隣施設との競合」(61.4%)、「賃金水準」(57.7%)などによって、人手の確保が難しい状態が続いているとのことです。

なお、退職状況については、定年退職を除く退職者は「9人以上」がもっとも多く、平均は8.2人。「退職なし」との回答はわずか2.1%にとどまります。

退職理由は、「転職(介護業界)」が52.9%と、2017年度に引き続き最多で、こちらの回答状況からも介護施設間での競合の激しさが伺えます。また、その他の退職理由として多かったのが「体調不良(48.0%)」、「職場の人間関係(45.9%)」で、職員の心身の負担の大きさについても、配慮する必要があるといえるでしょう。

独立行政法人福祉医療機構:平成30年度「介護人材」に関するアンケート調査の結果について 

https://www.wam.go.jp/content/files/pcpub/top/scr/190821_No006.pdf

世界初!iPS細胞から作った角膜の移植に成功-大阪大学(8/29)

大阪大学は、ヒトのiPS細胞から作った角膜上皮細胞シートを、角膜を損傷した(角膜上皮幹細胞疲弊症)患者に移植したことを発表しました。
iPS細胞を用いた角膜再生に関する研究は世界初で、角膜の疾患により失明状態にある患者の視力回復に役立つ可能性があるとのことです。
なお、移植手術は7月に行われ、手術を受けた患者は既に退院しています。
現在、安全性と有効性について経過観察中とのことです。

角膜上皮幹細胞疲弊症は、角膜上皮の幹細胞が存在する黒目の輪郭部分が病気やけがによって損傷し、幹細胞が消失してしまう状態のことで、視力低下や失明を引き起こします。
治療法として有効なのは、亡くなったドナーからの角膜移植ですが、移植による拒絶反応の危険性があることや、ドナー不足により移植が困難であることが問題視されていました。

今回、大阪大学大学院の西田幸二教授(眼科学)らのグループが実施した移植手術では、京都大学iPS細胞研究所のヒト由来のiPS細胞を用いて作られた、シート状の角膜上皮細胞が活用されています。
ヒト由来のiPS細胞を実際の患者の角膜上皮に移植した、世界初の例で、今後は臨床計画に基づき、安全性について慎重に検証を続けるとのことです。

ドナー不足や移植による拒絶反応を解消する、画期的な治療法となる可能性があるiPS細胞。
失明状態や視力低下状態を回復する希望の一手として、早期の治療法確立が期待されます。

国立研究開発法人日本医療研究開発機構:プレスリリース「世界初、iPS細胞から作製した角膜上皮細胞シートの第1例目の移植を実施」

https://www.amed.go.jp/news/release_20190829.html

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