【ニュース振り返り】在支病の往診医、自宅待機可能であることが明確に―2019年11月前半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。11月前半は、次期診療報酬改定について在宅医療に関する議論が繰り広げられたほか、救命救急士の業務範囲が拡大される方針が明らかに。口腔ケアと肺炎の関連性についての最新の研究結果についてもご紹介します。それでは早速振り返りましょう!

在宅医療支援病院の往診医、自宅待機可能であることが明確にー2020年度診療報酬改定(11/6)

厚生労働省は、6日の中央社会保険医療協議会の総会で、2020年度診療報酬改定に向け、在宅医療に関する議論を行いました。
在宅医療支援病院の往診医が自宅待機が可能になるなど、要件の見直しが行われる見込みです。

 

在宅医療に取り組む医療機関のうち、24時間の往診体制、24時間連絡を受ける体制の確保といった必要要件を満たし、在宅医療支援診療所、在宅医療支援病院(在支病)として国に届け出ると、診療報酬上で高い報酬を算定できるようになります。

 

特に在支病については、在宅医療のニーズの増加や、在宅医療に関する診療報酬上の評価が高まったことから、近年増加傾向であることが明らかになっています。

 

その一方で、在支病が苦労している点として、「24時間連絡を受ける医師または看護師の配置・確保」、「24時間往診が可能な体制の確保」が上位を占めることが病院団体協議会の調査によって明らかに。
さらに往診については、往診を担当する医師と、当直の医師を、院内に別に配置することが求められており、必要要件が厳しいとの声が現場から挙がっていました。

 

これらの指摘を受け、往診を担当する医師については、自宅待機(オンコール待機)を可能としてはどうかとの提案があり、次期改定で検討されることとなる見通しです。

 

また、複数の医療機関での連携についても議題として挙げられました。
18年度診療報酬改定から、主治医の依頼を受けた他の医療機関での訪問診療について、複数の医療機関で「在宅患者訪問診療料」が算定できるよう基準が見直された結果、他の医療機関に訪問診療を依頼するケースも現れています。

 

中医協によると、依頼先の医療機関が訪問診療を実施する期間は6ヶ月以上と長期に渡るケースが多い一方で、依頼先の医療機関が初回の訪問診療月に行った訪問診療の回数を「把握していない」と回答した医療機関が2割を超えることも明らかになりました。

 

医療機関間の連携が不十分である可能性があり、次期改定では情報共有についての要件が見直されることとなりそうです。

厚生労働省:中央社会保険医療協議会 総会(第430回) 議事次第

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00045.html

 

救急救命士の活動範囲、医療機関内にも拡大へ(11/6)

厚生労働省は、6日の救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会で、救急救命士の医療機関内での処置を認める方針を示しました。

 

消防庁の統計によると、2017年の救急出動件数は634万5,517件、搬送人員は573万8,664人で、過去最高を更新。救急車による救急出動にいたっては、1日平均1万7,376件で、5秒に一度出動している計算になります。
救急出動件数、搬送人員のいずれも年々増加し続けていますが、特に高齢者の増加が目立ちます。

 

このように救急医療の重要性が増す一方で、救急医療の現場では、医師、看護師などの医療スタッフの人手不足が問題視されています。
携わる医師、看護師の負担も増加しており、「医師の働き方改革」の観点から、他職種へのタスクシフティングについて、検討が進められています。

 

救命救急士についても、タスクシフティングが可能な職種の一つと考えられていますが、現行法では、救命救急士が医療行為を提供できるのは、傷病者の発生場所や救急車、ドクターヘリなどの場に限られており、医療機関の中での救命救急処置は認められていません。

 

しかし、救急救命士の救急救命処置については、重症以上の高齢者搬送が増加している現状を踏まえると、医師や看護師に傷病者を引き継ぐまで、救急救命士が処置を継続することは合理的であるとの判断から、医療機関内に適用拡大される見通しとなりました。

 

タスクシフティング推進の観点からも、今後の動向に注目が集まっています。

厚生労働省:第17回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07707.html

 

総務省消防庁:平成30年版 救急救助の現況

https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/post7.html

 

入れ歯を毎日手入れしないと肺炎のリスク1.3倍に。75歳以上は1.6倍ー東北大学大学院歯学研究科(11/5)

東北大学は、地域在住高齢者の入れ歯の清掃頻度と、過去1年間の肺炎発症の有無についての研究結果を発表しました。
入れ歯の手入れを毎日しない人については、過去1年間の肺炎発症のリスクが1.30倍、75歳以上の人に限っては1.58倍高いことが明らかになりました。
同大学大学院歯学研究科の相田潤准教授らの研究グループが報告しています。

 

高齢者の死因の上位を占める肺炎。その中でも、加齢に伴って嚥下機能が弱まり、飲食物や唾液が肺に入り込んでしまうことで引き起こされる「誤嚥性肺炎」については、高齢者が特に注意すべき疾患とされています。

 

高齢者の多くが装着している入れ歯の表面には、デンチャー・プラークという、細菌などからなる有機物が付着しており、これらが誤嚥により肺に到達し、肺炎を引き起こす可能性があります。

 

今回の研究では、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者(地域在住高齢者)のうち、入れ歯を使用している71,227人を対象に行われました。

 

対象者のうち、入れ歯を毎日清掃する人で、過去1年間に肺炎を発症した人は2.3%であったのに対し、毎日は清掃しない人では3.0%となりました。
さらに75歳以上の人の場合、毎日清掃する人で、過去1年間に肺炎を発症した人は2.9%であったのに対し、毎日は清掃しない人では4.3%と、肺炎発症のリスクがより高くなることが明らかになりました。
また、統計解析を行った結果、65歳以上の全対象者では入れ歯を毎日は清掃しないことにより、リスクが1.30倍、75歳以上の人については1.58倍高くなることがわかりました。

 

研究グループは、要介護状態にない人でも、入れ歯を使っている人は、手入れを毎日行うことが肺炎の予防につながる可能性があるとまとめています。

東北大学:2019年11月5日付プレスリリース「入れ歯の手入れを毎日しないと過去1年間の肺炎のリスクが1.3倍高かった 〜世界で初めての一般高齢者における研究〜」

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2019/11/press20191105-02-ireba.html

 

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