新型コロナウイルスに診療報酬改定。2020年の医療・介護ニュースを振り返ります!

12月も後半に突入し、2020年も残りわずかとなりました。今年最後の更新となる今回は、毎年恒例の年間ニュースの振り返り。今年は新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、医療・介護現場には大きな影響がもたらされたほか、4月には診療報酬改定も行われ、変化の1年となりました。それでは振り返っていきましょう。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行

201912月、中国湖北省武漢市で原因不明の肺炎が発生。
SARSの原因となったコロナウイルスの亜種である、新型のコロナウイルスによる肺炎であることが判明し、世界中で流行が拡大しました。
発生から1年近く経過したものの、未だに収束の気配はみられず、WHO1217日に発表したデータでは、全世界の患者数は7,285万人、死者数は164万人にのぼることが明らかになりました。
日本国内に限ってみると、19日時点での新型コロナウイルス感染症の感染者は193,031例、死亡者は2,828人となっています。

今回は、新型コロナウイルス感染症の流行による影響が大きかったオンライン診療と、診療報酬上の取り扱いについて振り返ります。

<参考>

厚生労働省:国内の発生状況など
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html

新型コロナウイルス感染症(COVID-19WHO公式情報特設ページ
https://extranet.who.int/kobe_centre/ja/covid

1)オンライン診療

新型コロナウイルス感染症の流行により、大きな変化がみられたのがオンライン診療です。

これまで初診は対面で行うことが原則とされてきましたが、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、時限的・特例的な対応として、必要な条件を満たせば初診であってもオンライン診療を実施することが4月から可能になりました。
実施要件については、厚労省の410日付事務連絡でまとめられています。

【新型コロナウイルス】オンライン診療、初診から実施可能に!実施要件を解説します

2020年4月14日

その結果、オンライン診療が実施可能な医療機関は10月末時点で16,587施設に増加し、うち初診からのオンライン診療を実際に実施した件数は5月が最多の9,746件、9月時点でも5,881件にのぼることが明らかになりました。

しかし、特例措置の条件を守らない不適切事例も報告されており、初診での処方が認められない麻薬・向精神薬を処方した事例や、8日以上分の薬を処方した事例、遠方の医療機関を利用する事例が報告されたことから、厚労省は826日に事務連絡を発出。
初診のオンライン診療では処方が認められていない、麻薬・向精神薬・ハイリスク薬の処方を行わないなどの実施要件の遵守のほか、医療機関と同じ2次医療圏内の患者を対象とすること、オンライン診療を実施する医師は「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に定められた研修を遅くとも来年3月末までに受診することなどを求めました。

また、初診からのオンライン診療については、政府が恒久的に認める方向性で検討する方針を10月に示したため、厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」でルールについて議論が重ねられており、年内に取りまとめられる見込みとなっています。

<参考通知など>

厚生労働省医政局医事課、厚生労働省医薬・生活衛生局総務課:2020410日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/000621247.pdf

厚生労働省医政局医事課:2020826日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いに関する留意事項等について」https://www.mhlw.go.jp/content/000667692.pdf

厚生労働省:第11回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14471.html

2)診療報酬

新型コロナウイルスの流行に伴い、診療報酬についても特例的な対応が実施されています。

在宅医療については、424日付事務連絡で、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の算定にあたっての特例として、感染を懸念する患者などからの要望により訪問診療が行えず、代わりに電話等での診療を行った場合について、条件を満たせば在医総管の算定が可能であることが示されました。

また、訪問看護についても同様に、利用者からの要望により訪問看護が実施できず、代わりに看護職員が電話で対応した場合についても、電話対応について主治医の指示を受けた上で、利用者またはその家族等に十分に説明し同意を得ることなどの条件を満たせば、訪問看護管理療養費のみを算定可能である旨が示されました。
この場合、同月に1日以上訪問看護を実施していることが必要となります。

医療機関が訪問看護を実施し、在宅患者訪問看護・指導料又は同一建物居住者訪問看護・指導料を算定している場合についても、610日付事務連絡で、条件を満たせば、電話での病状確認などでも訪問看護・指導体制充実加算のみ算定できる旨が示されました。

<参考通知など>

厚生労働省保険局医療課:2020424日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その14)」
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/news/2012/000146453.pdf

厚生労働省保険局医療課:2020610日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その21)」
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/shido_kansa/000151762.pdf

【在宅医療】新型コロナウイルスの流行時の診療報酬上の取り扱い(2020年4月24日付事務連絡より)

2020年4月28日

2020年度診療報酬改定

続いては41日から運用が開始された、2020年度診療報酬改定です。
改定率は、診療報酬本体が0.55%の引き上げとなった一方、薬価は0.99%引き下げ、材料価格が0.02%引き下げとなり、全体としては0.46%の引き下げとなりました。

今回の改定では基本方針として示された次の4点のうち、医師の働き方改革が重点課題に位置付けられており、在宅医療に関する報酬については小幅な改定にとどまりました。

2020年度診療報酬改定の基本方針>

1 医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進【重点課題】

2 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現

3 医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進

4 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

在宅医療と訪問看護に関する改定項目を少し振り返ってみましょう。

まずは他の医療機関と連携して在宅医療を行う場合に算定可能な「在宅患者訪問診療料()2」ですが、これまで算定可能期間が6か月に制限されていましたが、今回の改定で、連携先の医療機関と情報共有し、主治医が連携先の診療状況をきちんと把握した場合、6か月を超えて算定することができるようになりました。

訪問看護については、機能強化型訪問看護ステーションの人的要件に看護職員の割合が加えられ、一部の非常勤の看護職員を常勤換算することが可能になったほか、理学療法士や、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション職による訪問看護について、「訪問看護基本療養費()、()」の週4日目以降の評価が見直されました。

これまで、訪問看護基本療養費については、訪問看護を週4日以上実施する場合は、サービスを提供する職種に関わらず、週3日目までの基本料金にさらに評価が上乗せされる仕組みとなっていました。今回の改定で看護職とリハ職とで区分が分けられ、看護師によるサービスの方が高く評価されるようになりました。

<参考通知など>

厚生労働省:令和2年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00027.html

【在宅医療&訪問看護】2020年度診療報酬改定、詳細が決定!ポイントを解説します

2020年2月25日

2021年度介護報酬改定

続いては、来年度に実施予定の介護報酬改定です。
1218日の社会保障審議会・介護給付費分科会では、来年度の介護報酬改定の審議報告が提示され、方針がおおむね固まりました。

改定率については、17日の麻生財務大臣、田村厚生労働大臣間での折衝の結果、0.70%の引き上げとなることでまとまり、このうちの0.05%は、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価となるとのことです。

今回の改定にあたって示されたのが次の5本の柱で、これらを踏まえた取り組みが行われることとなります。

1)感染症や災害への対応力強化

2)地域包括ケアシステムの推進

3)自立支援・重度化防止に向けた取組の推進

4)介護人材の確保・介護現場の革新

5)制度の安定性・持続可能性の確保

今回ポイントとなるのは、感染症や災害時など、非常時に備えた対応が求められるようになったこと。
新型コロナウイルス感染症の流行や、昨今の災害の発生状況を踏まえ、感染症や災害発生時にも利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築することを全サービスに求めており、有事に備えた業務継続計画(BCP)の策定のほか、研修や訓練の実施を3年間の経過措置の後、義務付けることとしています。

そのほかに、自立支援・重度化防止に向けた取り組みも強く推進しており、科学的根拠をもとにした介護サービスを提供するために、データベース「CHASE」、「VISIT」への情報提供と活用を促すために、これらの取り組みを介護報酬上で評価する方針も示されました。

介護報酬改定の詳細については、今後改めて解説していきたいと思います。

厚生労働省:介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15558.html

厚生労働省:第197回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15543.html

まとめ

今回は年内最後の更新とのことで、1年間のニュースを振り返りました。新型コロナウイルスの話題が中心となりましたが、皆さまにとっても非常に大変な1年間であったのではないかと思います。どうか来年は、少しでも明るいニュースがお知らせできますように。多くの人が健康に過ごすことのできる世界になりますように。そんな願いを込めて、今回のブログを終えたいと思います。

皆様1年間お付き合いいただき、ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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