【ニュース振り返り】医療機関・介護施設での面会制限緩和へ。感染防止対策が条件―2020年10月前半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。10月前半は、新型コロナウイルス感染症の流行によって制限されていた医療機関や介護施設での面会について、感染症対策を徹底した上で制限を緩和する方針が示されたほか小多機・看多機での外部からの緊急ショート受け入れについて、要件緩和が検討されることも明らかになりました。れで早速振り返りましょう!

厚労省、医療機関・介護施設での面会制限緩和を通知―感染症防止対策が条件(10/15)

厚生労働省は、15日、新型コロナウイルス感染症の感染拡大対策のために制限されている医療機関や介護施設での面会について、制限を緩和する通知を発出しました。

今後は施設の判断によって、感染防止対策を適切に行ったうえで面会することが可能になります。

介護施設での面会については、3月に発出された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」で、面会者からの感染を防ぐため、緊急の場合を除いて一時中止すべきとの方針が示されています。

しかし、広島大学が高齢者医療・介護施設と介護支援専門員に対して実施した調査結果によると、面会制限や活動自粛の結果、医療・介護施設の38.5%、介護支援専門員の38.1%が認知症の状態に影響が生じたと回答。
特に行動心理症状の出現・悪化、認知機能の低下、ADLの低下などがみられたとのことで、人とのつながりや交流、活動の制限により、高齢者の心身の健康に悪影響あったことが明らかになりました。

これに加え、地域ごとに流行状況に大きなばらつきがあることや、院内や施設内での大規模な集団感染が減っていることを踏まえ、今後は施設の判断により、適切な感染防止対策を行った上で面会制限を緩和する方針が示されました。
なお、オンラインでの面会についても引き続き推奨するとしています。

具体的な感染防止対策として、面会者の人数を必要最小限とすることのほか、感染者との濃厚接触者でないこと、同居家族や身近な方に、発熱や咳・咽頭痛などの症状がないこと、過去2週間内に感染者、感染の疑いがある者との接触がないことなどを条件とすることが提示されたほか、次の例が挙げられています。

<感染防止対策の例>

・面会者が発熱、のどの痛み、倦怠感、嗅覚・味覚障害等の症状を有する場合は面会を断ること。

・面会者には、面会時間を通じてのマスク着用、面会前後の手指消毒を求めること。

・面会後は、面会者が使用した机、椅子、ドアノブ等の清掃及び消毒を行うこと。

厚生労働省:令和2年10月15日社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について(その2)(一部改正) https://www.mhlw.go.jp/content/000683520.pdf

厚生労働省:第10回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(10月13日)資料https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000682605.pdf

 

介護施設への緊急ショートステイ、小多機・看多機での受け入れ要件緩和へ(10/9)

厚生労働省は、9日、社会保障審議会・介護給付費分科会の会合を開始し、来年度の介護報酬改定について議論しました。
在宅生活を続ける要介護者が一時的に体調を崩した場合や、家族に休息が必要な場合などに、登録者以外でも利用可能な「緊急ショートステイ」について、小規模多機能型・看護小規模多機能型居宅介護施設での受け入れ要件が緩和されることとなります。

小多機、看多機で緊急ショートステイを受け入れる場合、現行制度では登録者数が定員より少ないことが要件となっています。
そのため、登録定員が満員の場合、たとえ登録者が泊まっておらず、ベッドが空いている場合でも、外部から登録者以外を受け入れることが困難であるとの課題が指摘されています。

厚労省が8月に実施した調査では、小多機897事業所のうち、外部からの緊急ショートについて、1事業所あたりの受け入れ可能な室数は1日平均1.7室で、「室」の事業所が2割を占める結果となりました。
また、短期利用受入可能室数が1室以上の事業所のうち、実際に2019年11月に短期利用を受け入れた事業所はわずか4.6%にとどまり、利用があまり進んでいないことがわかります。
一方、小多機の定員に対して、実際の利用者数は少ない事業所が多く、1事業所あたり3床ほどの空きがあることも報告されました。

そこで厚労省は、小多機の登録者以外の緊急ショートについて、登録者の緊急時を含めた 宿泊サービス提供に支障がないことを条件として、宿泊室の空きを柔軟に活用できるよう検討する方針を示しました。
また、看多機についても同様の見直しを行うとしています。

ショートステイは、要介護者が在宅で療養生活を続けていくため、また家族の休息(レスパイト)においてもニーズが高まっているサービスです。
今回の要件緩和により、これらのニーズに応えられるだけでなく、事業者にとっても空きベッドの有効活用につながると見込まれ、両者にとって有益な見直しとなることが期待されます。

厚生労働省:第187回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13957.html

高齢者の予防接種率、良質な「プライマリ・ケアを受る高齢者ほど高くなるー横浜市立大学(10/1)

横浜市立大学大学院は、プライマリ・ケアと、高齢者のインフルエンザ、肺炎球菌予防接種の接種率が相関関係にあり、「必要なときに幅広い内容の相談ができる」など、プライマリ・ケアで受けられるサービス内容が充実している患者ほど、予防接種率が高くなることを発表しました。
研究グループは、プライマリ・ケアの充実により、高齢者の予防接種率を向上させる可能性があると指摘しています。

プライマリ・ケア」は、患者が最初に受診する総合的な診療のこと。
体調不良やけがだけでなく、在宅医療、健康面で気になることがある場合など、「何でも相談できる身近で総合的な医療」として、欧米で広く利用されています。
過去の研究では、小児の予防接種やがん検診の受診などの予防医療行動と、プライマリ・ケアの質を評価するスコア「患者が医療ケアのプロセスで経験した事象(PX)」が正の相関関係にあることが報告されていますが、高齢者の予防接種との関係性については明らかになっていませんでした。

なお、厚労省がインフルエンザ、肺炎球菌予防接種の接種対象者と定める高齢者の実際の接種率はそれぞれ50.2%、37.8%で、十分とは言えないのが現状です。

そこで金子 惇講師らの研究チームは、高齢者の予防接種率とプライマリ・ケアの関係について今回の研究を実施。
プライマリ・ケアを実際に受診した20歳以上の患者を対象とした行われた調査(PROGRESS研究)から、特定期間に受診し、調査に回答した、65歳以上の高齢者1,000名のデータを抽出して、日本のプライマリ・ケアの質(PX)評価に利用するスコア(JPCAT)を用いて関連を評価しました。

その結果、研究対象者の予防接種率はインフルエンザが68%、肺炎球菌が53.8%で、JPCATのスコアが1標準偏差分増加すると、予防接種を受けている人の割合がインフルエンザで1.19倍、肺炎球菌で1.26倍増え、プライマリ・ケアで受診するサービスの質が高くなるほど、予防接種率が高くなることがわかりました。

研究チームは、「本研究では原因と結果を直接証明することはできない」としたで、「プライマリ・ケアにおいて患者が必要としている機能を十分に提供することで予防接種の接種率が向上する可能性がある」とまとめています。

横浜市立大学:2020年10月1日付プレスリリース「身近な医療の質と高齢者の予防接種率の関連が明らかに」https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2020/dr3e6400000106b3-att/20201001kaneko.pdf

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