【ニュース振り返り】初診からのオンライン診療、恒久化へ向け議論開始―2020年11月前半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。11月前半は、時限的措置として解禁された初診からのオンライン診療について、恒久化に向けた議論が開始されたほか、来年4月からの介護報酬で腰痛防止のためのノーリフティングケアを評価する方針が示されました。それでは早速振り返りましょう!

初診からのオンライン診療、恒久化に向けた議論開始(11/2)

厚生労働省は、2日に開催された「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」の会合で、初診からのオンライン診療の恒久化に向けた議論を開始しました。

これまでオンライン診療については、対面診療を補完するものという位置づけで、初診は対面で実施することが原則とされていました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、感染拡大防止のための時限的・特例的な対応として、麻薬・向精神薬、ハイリスク薬の処方を行わないなどの要件を満たした場合であれば、初診でも電話診療・オンライン診療を行うことが認められています。

しかし、田村憲久厚生労働大臣が10月9日の閣議後記者会見で恒久的な診療形態として導入する方針を発表。
2日の検討会で、具体的な制度化に向けた議論が始まり、以下の方向性が示されました。

  • 安全性と信頼性をベースに、初診も含めオンライン診療は原則解禁する
  • オンライン診療は、電話ではなく映像があることを原則とする
  • 安全性と信頼性については、オンライン診療を行うことによる患者の利便性等のメリットと、対面診療を行わないことによる疾患の見逃し・重症化のリスクや、患者と医療機関の感染やトラブルのリスク等を総合的に考慮する
  • 新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての時限的措置の検証結果を踏まえつつ、今後のオンライン診療のあり方として具体的に位置づけるものを検討する。 

ポイントとなるのは、「安全性」と「信頼性」の2点ですが、時限的措置が実施されている中、様々な課題が浮き彫りになっています。

まず、「安全性」については、患者が安全に診療行為を受けることと定義されますが、課題として、腹痛など様々な疾患が原因となり得る症状の診断が困難であることや、診断が難しい症状の場合、対症療法が継続することとなり、重大な疾患の見落としにつながりかねないことなどが挙げられています。
信頼性」については、医師・患者関係における信頼のことであり、両者の本人(資格)確認のほか、疾患の見落としがあった際の訴訟の可能性についても言及されました。

厚労省は、今後、初診からオンライン診療を認める方向でこれらの課題について議論をすすめ、年内に方針を取りまとめる予定としています。

厚生労働省:第11回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14471.html

介護報酬改定、ノーリフティングケアを評価(11/9)

厚生労働省は、9日に実施された社会保障審議会介護給付費分科会の会合で、来年4月からの介護報酬改定についての議論を行いました。
職員の腰痛予防のためにノーリフティングケアに取り組む事業所を、介護報酬上で評価する方針を示しました。

腰痛は介護福祉士の主要な退職理由の一つ。
社会福祉振興・試験センターの2015年度の調査によると、介護福祉士が過去に働いていた職場を辞めた理由として、最多となったのが「業務に関連する心身の不調(腰痛を含む)」で、27.1%を占めることがわかっています。

職員の職場定着や、業務負担軽減のためには、腰痛予防策が必要不可欠ですが、そんな中、注目が集まっているのがノーリフティングケアです。
人力だけでの抱え上げや引きずる移動を行わず、利用者の心身の状態を考慮しながら、リフトなどの福祉機器を活用するケアのことで、力任せの移動をなくすことで、介護者の腰痛防止に加え、利用者も安心してケアを受けられるというメリットがあります。
元々はオーストラリアで生まれた概念ですが、日本でも腰痛予防策として導入が進みつつあり、高知県は『ノーリフティングケア宣言』を16年度に策定するなど、積極推進しています。

厚労省によると、具体的な評価方法については今後検討を進めるとのことですが、ノーリフティングケアの取組を進める事業所を、既存の加算の仕組みを活用しながら評価する予定とのことです。
どのような評価方法となるのか、興味深い結果となりました。

 

厚生労働省:第192回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14660.html

公益財団法人社会福祉振興・試験センター:平成27年度就労状況調査結果http://www.sssc.or.jp/touroku/results/index_h27.html

高知県:ノーリフティングケア宣言https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/060101/files/2018051500057/file_2018515294514_1.pdf

コーヒーをよく飲む人ほど眼圧が低いことを発見-京都大学(11/9)

京都大学は、9日、長浜スタディに参加した9,850人の日本人データを解析した結果、コーヒーをよく飲んでいる人ほど眼圧が低いことを発見したと発表しました。
本研究は、京都大学大学院医学研究科眼科学の三宅正裕特定助教らの研究チームによるもので、「Ophthalmology Glaucoma」にオンライン掲載されました。

日本は世界第4位のコーヒー消費国ですが、近年の研究で、習慣的にコーヒーを飲む人の方が死亡率が低く、糖尿病や心血管疾患、肝硬変、認知症など、様々な疾患になりにくいことがわかってきました。

一方、コーヒーと眼の関係についての研究は少なく、コーヒー摂取頻度と眼圧の関係についても、大規模な日本人コホートで調べたものはこれまでありませんでした。
そこで、研究グループは、習慣的なコーヒー摂取量と、緑内障発症・進行の危険因子である「眼圧」の関係について、京都大学附属ゲノム医学センターが滋賀県長浜市と共同で実施する「ながはま0次予防コホート事業」(長浜スタディ)のデータを用いて調査しました。

その結果、緑内障と指摘されたことがない人については、習慣的なコーヒー摂取頻度が高いほど眼圧が低いことが明らかに。
具体的には、1日3杯以上飲む人は、1日1杯未満の人に比べ眼圧が約0.4mmHgと、研究の参加者全体の平均眼圧(14.7mmHg)より約3%低くなったことがわかりました。
なお、緑内障と指摘されたことがある人とない人とで比較した場合は、コーヒー摂取頻度に明らかな差は見られませんでした。

研究チームは、習慣的なコーヒー摂取と眼圧との関係について、少なくとも緑内障の観点では、コーヒーは眼に悪影響を及ぼすものではなさそうで、意識して控える必要はないだろうとしており、今後、臨床的および実験的な裏付けが強く期待されるとまとめています。

同時に、本研究はコーヒーを飲むことによって眼圧が下がるのかを検証した研究ではないこと、また、既に緑内障にかかっている場合、コーヒーが眼圧を下げるかどうかは分かっていないことから、緑内障の治療や予防の目的でコーヒーを摂取することを推奨するものではないとして、注意喚起しています。

 

京都大学:研究成果『習慣的にコーヒーを摂取している人ほど眼圧が低いことを発見 -ながはま0次予防コホート事業(長浜スタディ)の成果-』
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2020/201106_1.html

【無料公開中】人気記事を資料にまとめました!

資料ダウンロード「感染予防」