【ニュース振り返り】通所介護の入浴介助に加算新設―2020年11月後半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。11月後半は、次期介護報酬改定で、通所介護の入浴介助に加算が新設されることが明らかになりました。歯周病とサルコペニアの関連性についての研究報告もご紹介します。それでは早速振り返りましょう!

※2020年1120日執筆時の内容となっています。

通所介護の入浴介助、加算を新設利用者の自立した入浴を支援(11/16

厚生労働省は、16日に行われた社会保障審議会の介護給付費分科会で、来年4月からの介護報酬について議論し、通所介護における入浴介助について、加算制度を新設する方針が示されました。

新加算は、利用者が自立して入浴できるよう、多職種連携によって支援する取り組みを評価するものとなる見込みで、①リハ職が利用者の自宅をあらかじめ訪問し、浴室を確認する、②多職種連携によって、利用者の身体状況や浴室の環境をふまえた個別入浴計画を作成、③個別入浴計画に基づき入浴介助を行う3点を要件とした評価となる予定です。

厚労省によると、自宅での入浴状況を把握したり、個別機能訓練計画に入浴に関する項目を設定したりと、利用者の自立した入浴を積極的に支援する取り組みを行う事業所もあり、来年4月からはこれらの事業所が評価されることとなりますが、これらの取り組みを促すために、現行の入浴介助加算については単位数引き下げを検討すべきとの意見も挙がっています。
入浴介助加算は、通所介護事業所の94.5%が算定していることから、今後の影響が大きくなりそうです。

厚生労働省:第193回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14716.html

訪問看護ステーション、看護師6割以上が人員要件へリハ職団体からは反対の声も(11/16

厚生労働省は、16日に行われた社会保障審議会の介護給付費分科会で、来年4月からの介護報酬について議論しました。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハ職が多くを占める訪問看護ステーションが増えていることを受け、一定の経過措置期間経たのち、従業員のうち看護職員が占める割合を6割以上とする人員配置基準を設ける方針が示されました。一方、リハ職による業界関連団体からはこれに反対する声も挙がっています。

2017年の厚労省の調査によると、訪問看護ステーションの従業員のうち、理学療法士などのリハ職が占める割合が6割以上となる事業所は4.7%で、年々増加しつつあります。
また、理学療法士が10名以上の事業所は09年(20か所)から17年(205か所)で10倍以上に増加しており、リハ職による訪問看護が増えていることが明らかになっています。
一方、リハ職によるケアはADL改善や維持のためのものが多くを占め、医療的なケアを行っていない事例も見受けられます。

これに対し厚労省は、訪問看護サービスは、疾病やけがで自宅療養している患者のもとに看護師が訪問し、医療的なケアや診療の補助を行うものであると指摘。
こういった役割を踏まえたサービスが提供されるよう、人的要件を新設する方針が示されました。

一方、リハ職の団体からは反対の声が挙がっており、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会の3団体は、20日に共同声明を出しました。
これによると、現在、リハ職による訪問看護を受けている人の2割に当たる約8万人の利用者が、今後必要なケアが受けられなくなる可能性があるほか、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士ら約5000人の雇用が失われるおそれがあるとのことです。

※1120日執筆時点の内容。122日に開催された社会保障審議会の介護給付費分科会で、訪問看護STの人員要件について、実施見送りとなる見込みであることが明らかになりました。

厚生労働省:第193回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000694882.pdf

日本理学療法士協会:約8万人のリハビリ難民を生む「訪問看護ステーションの人員配置基準」に対する3協会合同声明文を発表
http://www.japanpt.or.jp/about/enterprise/news/2020/20201117.html

歯周病が骨格筋の代謝異常を引き起こす-サルコペニア悪化の引き金となる可能性(11/17

東京医科歯科大学と佐賀大学の研究グループは、歯周病に感染することで、骨格筋の炎症に関わる遺伝子群が上昇し、脂肪化の亢進、インスリンシグナルの低下に伴い糖の取り込みが阻害されることを発見しました。
歯周病がメタボリックシンドロームやサルコペニアを引き起こすリスクファクターである可能性が明らかになり、歯周病治療の重要性が伺われる結果となりました。

近年の研究で、歯周病が糖尿病や肥満などの全身疾患や、糖代謝に深く関わる肝臓を脂肪化させる一因であることが明らかになっています。
しかし、糖代謝に関わる他の臓器と歯周病の関連性についての報告はこれまでほとんどありませんでした。
また、歯周病と糖尿病の関連性については、歯周病がインスリン抵抗性を引き起こすことで病状が悪化することが指摘されていますが、インスリン依存的に糖の取り込みや代謝を行う骨格筋に着目した研究はありませんでした。

そこで研究グループは、歯周病と骨格筋の関連性に着目。
ヒトの臍部のCT 画像を解析し、骨格筋の脂肪化マーカーと、歯周病菌の血清抗体値との関連を調査し、両者は有意に相関していることを明らかにしました。
歯周病に感染させたマウスを用いた実験でも、遅筋であるヒラメ筋の脂肪化が亢進することがわかり、骨格筋の炎症に関連する遺伝子の上昇も確認されました。

さらに、研究グループは糖の取り込みについても調査しており、グルコースと同様に細胞内に取り込まれるものの、リン酸化された後、次の酵素反応へ進まない2−デオキシグルコース(2DG)をマウスに投与して、筋組織に取り込まれた糖を定量しました。
その結果、歯周病菌に感染したマウスでは、ヒラメ筋への糖の取り込みに加え、リン酸化についても阻害されており、インスリンシグナルが低下していることが確認されました。
また、次世代シークエンサーを用いて、マウスの腸内細菌叢と細菌種間の相関関係を解析した結果、特定の種族の菌(Tricibacter属)が減少し、細菌叢と細菌間の関係も変化していることがわかりました。

今回の研究で、メタボリックシンドロームの患者では骨格筋脂肪化マーカーと、歯周病菌の血清抗体価が有意に相関していることが明らかになりました。
また、歯周病に感染したマウスでは腸内細菌叢の変化によって、骨格筋の炎症関連遺伝子群が上昇、脂肪化の亢進、インスリンシグナルの低下とともに糖の取り込みが阻害されていることがわかりました。

研究チームは、歯周病が骨格筋の代謝異常を引き起こし、メタボリックシンドロームのリスクファクターになる可能性があること、そしてサルコペニアへとつながる可能性を示すものであるとまとめており、歯周病の危険性を注意喚起しています。

東京医科歯科大学、佐賀大学 プレス通知資料(研究成果):歯周病原細菌の感染が骨格筋の代謝異常を引き起こす歯周病がサルコペニアの病態悪化に寄与している可能性を示唆
http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20201117-1.pdf

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