【ニュース振り返り】インフルエンザ患者、例年より大幅に少ない状態が続く―2020年12月前半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。12月前半は、次期介護報酬改定で、以前より議論されてきた訪問看護ステーションの人的要件の導入見送りが明らかになったほか、インフルエンザ患者が例年より大幅に少ないことが報告されました。それでは早速振り返りましょう!

訪問看護ステーションの人的要件の導入見直しへ―介護報酬改定(12/9)

厚生労働省は、9日、介護給付費分科会の社会保障審議会で来年4月からの介護報酬について、年内に取りまとめ予定の審議報告案を提示しました。

今回はポイントを2点ご紹介します。
まず、利用者のニーズに応えられなくなるという理由で業界団体から見直しが求められていた、訪問看護ステーションに看護師を6割以上配置するという人的要件について、導入が見送られることとなりました
その代わりに理学療法士などのリハビリテーション職が行う訪問看護の回数、評価などが見直されるとのことで、報酬が下がることが予想されます。

また、介護職員が安心して働けるよう、利用者やその家族からのハラスメント行為を防ぐための対策を、全ての事業者に求めることが報告書に盛り込まれました。
過去の調査では、介護職員の4~7割が利用者からのハラスメントを経験していることが明らかになっており、厚労省は「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」の作成のほか、事業者に対して相談窓口や必要な体制整備を義務付けるなどの対策を行ってきましたが、次期改定で施設基準についても見直されることとなります。

そのほかに、過去の記事でご紹介した、訪問介護の看取り期の評価や、通所介護での入浴介助加算の見直しなどについても今回の報告案に記載されています。

厚生労働省:第196回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15275.html

 

インフルエンザ患者、例年より大幅に少ない状態続く(12/11)

厚生労働省は、11日、インフルエンザの全国での発生状況について、最新の統計を公表しました。
2020年第49週(11月30日~12月6日)の報告数は63人、定点当たり報告数は0.01人に留まり、感染が報告された地域も20都道府県と、昨年の同時期(報告数:47,200人、定点当たり報告数:9.52人)と比較し大幅に少なくなっています。
今シーズンは、例年と比較して報告数が少ない状態が続いています。

インフルエンザの流行の目安として、ポイントとなるのは定点当たり報告数です。
全国の定点当たり報告数が1人を超えると、全国的な流行が始まったと判断されることとなりますが、昨年は45週目(11月4日~11月10日)に報告数が1.02人となり、厚労省が流行シーズン入りを発表しました。
なお、昨シーズンに全国の医療機関を受診したインフルエンザ患者数を、定点当たり報告数から推計すると、約728.9万人にのぼります。

今シーズンはインフルエンザだけでなく、手足口病や、伝染性紅斑(りんご病)、咽頭結膜熱、感染性胃腸炎など、多くの感染症で例年より報告数が少なくなっています。
新型コロナウイルス感染症だけでなく、インフルエンザなど、様々な感染症から身を守るためにも、今後も気を抜かずに対策を続けていきましょう。

厚生労働省:インフルエンザの発生状況について(令和2年12月11日)https://www.mhlw.go.jp/content/000704000.pdf

国立感染症研究所:インフルエンザ 2019/20シーズン
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/flu-iasrtpc/9961-489t.html

国立感染症研究所:感染症発生動向調査 週報(IDWR)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr.html

難聴と認知機能低下は強く関連する-国立長寿医療研究センターらの研究より(12/1)

国立長寿医療研究センターの佐治直樹もの忘れセンター副センター長は、名古屋女子大学、東京都健康長寿医療センター、鹿児島大学との共同研究で、地域在住高齢者の住民健診データを解析した結果、難聴と認知機能に強い関連があることを見出したと発表しました。
また、海外と比較して日本では補聴器の使用率が低いことも指摘しています。

近年の海外の研究で、難聴が認知症の危険因子であることが報告されており、視力や聴力などの感覚器の領域と認知症との関連性について注目が集まっています。
そこで研究チームは、東京都板橋区などで実施された地域在住高齢者の住民健診データを統合し、聞こえについてのアンケート調査と認知機能との関連を解析しました。

今回の調査で用いられたのは、東京都板橋区、鹿児島県垂水市の検診受診者のうち、解析対象者となった1,602名(うち90名が補聴器使用)のデータで、2種の認知機能テスト(時計の絵を描写する(時計描画)、3つの単語を記憶・再生する(単語遅延再生))の結果と、聞こえについての関連性を調査しました。

その結果、補聴器を使用している人は認知機能低下の傾向が見られたほか、難聴の程度が重度になるとテストの正答率が低下し、時計描画テストでは正答率に1.6倍もの差が見られました。
つまり、難聴があると認知機能低下の合併が1.6倍多くなるということになります。

また、研究グループは、日本での補聴器の使用率についても報告しており、東京都板橋区、鹿児島県垂水市に北海道八雲町を加えた、3地区の検診受診者1,896名を解析した結果、眼鏡を使用している人は全体の8割以上を占める一方で、補聴器については1割未満と少ないことがわかりました。
他国と比較して難聴率はほぼ変わらないのにも関わらず、日本の補聴器の使用率は低く、年代別に比較しても同様の傾向が見られるとのことです。

研究グループによると、今回の調査結果から、難聴が認知症のリスクであること、また補聴器の使用により認知症リスクを軽減できる可能性が示唆されるとのことで、地域高齢者に対して、聞こえや認知機能のチェックが今後ますます必要になるだろうとまとめています。

研究開発法⽴⻑寿医療研究センター:プレスリリース「もの忘れセンターの佐治直樹副センター長らが、難聴と認知機能低下との強い関連を見いだしました。」https://www.ncgg.go.jp/hospital/monowasure/news/20201130.html

Naoki Saji, Hyuma Makizako, Hiroyuki Suzuki, Yuki Nakai, Takayuki Tabira, Shuichi Obuchi, Hisashi Kawai, Kenta Murotani, Naomi Katayama, Kenji Toba, Yasue Uchida, Tsutomu Nakashima. Hearing impairment is associated with cognitive function in community-dwelling older adults: a cross-sectional study. Archives of Gerontology and Geriatrics. 2020.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167494320302995

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