【ニュース振り返り】都健康長寿医療センター、認知症患者のCOVID-19ケアマニュアル公開―2021年1月前半のニュース3選

ココメディカマガジン編集部が気になる医療・介護業界のニュースをピックアップする「ニュース振り返り」。1月前半は、認知症の方が新型コロナウイルス感染症になった場合のケアの心得をまとめたマニュアルが公開されたほか、医療現場での感染経路についての研究結果も報告されました。それでは早速振り返りましょう。

新型コロナウイルス感染症、認知症患者のケアマニュアルを公開都健康長寿医療センター(1/15

東京都健康長寿医療センターは、15日、「認知症患者における新型コロナウイルス感染対策とケアマニュアル」を医療従事者向けに公開しました。
標準予防策、感染経路別予防策など、感染症対策の基本的な事項に加え、認知症患者に対して特に注意が必要な事項や心構えなどがまとめられています。

マニュアルのうち、「認知症患者における感染対策」として紹介されているポイントの一部をご紹介します。

まず、感染者に治療・ケアを行う際には、患者を専用の病室に移して感染経路別予防策をとらなければなりません。
しかし、認知機能が低下し、自分の身に何が起きているのか正しく理解することが難しい患者の場合、医療従事者が行う感染対策について「バイキン扱いをされている」、「自由を奪われ何かされるのではないか」といった恐怖を感じてしまうおそれがあります。
このような場合、治療が困難になるだけでなく、患者の混乱を招いて認知症の周辺症状(BPSD)の出現や悪化につながる可能性もあります。

また、患者自身が症状を訴えられないことも多いため、状態悪化の発見が遅れることもあります。
そのため、活動性が変化した際には、室内安静を理解した上での結果なのか、発熱などによるものかをバイタルサインなどから注意深く観察し判断しなければなりません。

そこで、心構えとして以下のポイントをおさえる必要があります。

  • 本人の理解を得るためのわかりやすい説明
  • 易しい言葉(難しい医療用語を使わない)
  • 安全に過ごせる環境づくり
  • 守ってほしい行動の注意を促す工夫
  • 活動性の変化を認めた際は、バイタルサインを含む全身状態を注意深く観察

また、個室隔離の継続による悪影響として、面会禁止によって家族や外部とのかかわりが減り、認知機能が低下する、筋力低下によって転倒リスクが上がることなども考えられます。
しかし、医療従事者が必要な防護服などを着用せずに室内に飛び込むことは避けなければなりません。
これまで当たり前に行ってきたケアや治療が十分にできず、患者を守れないことも起こり得ることを、医療従事者、患者、家族と十分に共有することも必要です。

マニュアルには、このほかに、見当識障害がある患者が混乱している場合の対応や、転倒防止策、個室での室内安静が難しい場合の事例と対策などが盛り込まれており、医療従事者だけでなく、介護職、家庭での介護者などにも有用な内容となっています。

東京都健康長寿医療センター:「認知症患者における新型コロマウイルス感染予防とケアマニュアル」を公開いたします。https://www.tmghig.jp/hospital/info/archives/013656/

新型コロナウイルス、医療現場での主な感染経路は「飛沫感染」、予防効果も解明-近畿大学(1/8

近畿大学は、8日、医療現場における新型コロナウイルス感染症の感染リスクを、感染経路別に算出するモデルを構築、分析した結果、患者と医療従事者が近接する状況下では、主な感染経路は「飛沫感染」で、次いで「接触感染」であることを報告しました。
研究チームは、医療現場のみならず、積極を伴う飲食や介護の現場など、人が近接する他業界での感染対策への応用が期待できる、としています。

なお、この研究は「オール近大新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト」の一環として、近畿大学医学部 環境医学・行動科学教室の東 賢一准教授らの研究チームによって行われました。

今回の研究は、感染者と非感染者が近接する状況(0.6mの間隔)において、様々な感染経路からの感染リスクを推算するモデルを構築してシミュレーションしました。
対象は、新型コロナウイルス感染症の入院患者をケアする医療従事者で、「患者の咳や会話によって発生した飛沫を直接吸入することによる感染」、「飛沫が顔の粘膜に直接付着することによる感染、飛沫が患者付近の物体の表面に付着し、表面を手で触って付着したウイルスが手に付き、その手で顔の粘膜に触ることによる接触感染」、「手に直接飛沫が付着し、その手で顔の粘膜を触ることによる接触感染」、「患者の呼吸や咳、会話によって発生した飛沫核を吸入することによる空気感染」を想定して感染リスクを計算しました。

その結果、飛沫が顔の粘膜に直接付着することによる感染のリスクが60%~86%と最も高く、次いで汚染表面からの接触感染のリスクで、9%~32%となりました。
また、まれなケースとして、患者の唾液中のウイルスが非常に高濃度で、下気道での感染リスクを高く見積もった場合、飛沫核による空気感染のリスクが5%~27%まで上昇しました。

また、同時に「サージカルマスク」「フェイスシールド」「換気」などの感染予防策を行った場合の効果も評価した結果、医療従事者がサージカルマスクとフェイスシールドの両方を着用した場合、感染リスクが99.9%以上低減し、患者がサージカルマスクを着用した場合は感染リスクが99.99%以上低減しました。
さらに、患者がサージカルマスクを着用したうえで換気回数を2/時から6/時に増やした場合、リスクはさらにその半分以下となったとのことです。
医療現場では、個人防護具を適切に使用すること、また換気をきちんと行うことが大切であることが示唆されました。

近畿大学:医療現場における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染経路別の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクと予防効果を解明
https://newscast.jp/news/5032698

脳神経細胞への糖取り込み促進、食事制限で寿命が延びることを確認-東京都立大学(1/5

東京都立大学は、5日、脳神経細胞への糖の取り込みと、脳の老化や寿命との関連性について、ショウジョウバエを用いた研究成果を報告しました。
通常、脳神経細胞内のATP量は加齢に伴い減少していきますが、糖の取り込みを促進することで、ATP量の減少と加齢による運動機能低下を抑えることができ、寿命が延びることが確認されました。
また、糖の取り込み促進と、食事制限を組み合わせることで、より効果的に寿命を延ばすことができるとのことです。

今回の研究は、東京都立大学大学院 理学研究科 生命科学専攻の岡未来子大学院生と安藤香奈絵准教授らの研究チームによって行われました。

高齢化が進み、人生100年時代を迎えつつある現在、単に寿命を延ばすだけでなく、「健康寿命」を延ばすことが重要視されていますが、そのためには脳の機能の老化を防ぐことが大切になります。

脳の高次機能を司る神経細胞は、エネルギー(ATP)をたくさん必要とします。
ATPは、神経細胞内で糖を分解することによって作られますが、加齢した脳やアルツハイマー病などの加齢性神経疾患患者の脳内ではこの糖代謝が低下することが報告されています。

一方、血糖値を下げる食事制限や、インスリンシグナリングによる糖の細胞内への取り込みを阻害することによって、寿命が延びることもわかっています。
それぞれ相反する結果となりますが、この矛盾に対する説明はこれまでになく、研究チームは、加齢による脳内の糖代謝変化と個体の老化との関係を、ショウジョウバエを用いて調べることにしました。

まず、生きた脳の神経細胞の中のATP量を測定した結果、加齢によりATP量が低下していることがわかり、その背景で神経細胞への糖取り込みが低下し、ATPをつくる解糖系やミトコンドリアの機能も低下していることが判明しました。
そこで、細胞内への糖の入口の役割をするタンパク質(グルコーストランスポーター)を神経細胞に増やし、神経細胞内への糖取り込みを促進したところ、ATP減少が抑制されました。

同時に個体レベルでの老化による変化を調べると、加齢による運動機能の低下が緩和され、寿命も延伸していることが判明。
脳神経細胞でのATP欠乏を防げば、個体の老化を緩和できることが確認されました。
さらに、これらの神経細胞で糖取り込みを促進した個体を、食餌制限して飼育すると、糖取り込み促進のみ、または食餌制限のみの個体に比べて、さらに寿命が延びていました。

この結果から、脳神経細胞への糖の取り込みが、個体の老化に重要な役割を果たしていることがわかり、脳神経細胞への糖取り込みの促進と食生活の改善の組み合わせによって、将来的に健康寿命の延伸が期待されると研究チームはまとめています。

東京都立大学:【研究発表】脳の老化と寿命に関わるメカニズムを発見脳内の糖がぴんぴんころりの鍵
https://www.tmu.ac.jp/news/topics/30590.html

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