口腔ケアが重要な理由|在宅医療と口腔ケア(第1回)

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最近、在宅医療で注目されているのが、口腔ケアの重要性です。では、なぜ在宅医療に口腔ケアが必要なのでしょう。

適切に答えられる人は少ないかも知れませんね。だからこそ必要性が分かれば、毎日の患者さんへの口腔ケアを効果的に行うことができ、感染予防などの医学的なメリットが生まれ、質の高い医療を提供できるはずです。

本シリーズでは10回にわたり、在宅医療と口腔ケアについてわかりやすく解説いたします。医療・介護の現場で必ず役立つ知識ですのでぜひ勉強してみてください。

口腔ケアが重要なのはなぜ?

口の中には、汚れや細菌が存在します。 黄色ブドウ球菌や 500種類以上の細菌が生息しています。 その数は、きちんと歯を磨く人でも1mgの中に細菌が約10億個、ほとんど歯を磨かない人の場合は1兆個ともいわれるほどです。

健康な人であれば、唾液の持つ自浄作用によって多くが洗い流されますが加齢によって唾液の分泌量が減り、細菌が定着しやすくなります。その細菌が嚥下機能の低下などで誤って肺に入ってしまった場合、肺炎を引き起こすことがあります。 これが『誤嚥性肺炎』です。

肺炎の予防接種を受けていても、誤嚥性肺炎は予防することが出来ません。誤嚥性肺炎にならないようにするためには、口の中の細菌の数を減らすことが大切。毎日、適切なブラッシングおよび運動やマッサージを行うことが、細菌の数を減らし、病気のリスクを回避する、一番の近道です。

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予防接種は肺炎予防として万能ではない!?

厚生労働省の発表によれば、2013年度から3年連続で日本人の死因第3位として『肺炎』が上がります。肺炎を引き起こす最も多い原因は、肺炎球菌による感染症です。その肺炎球菌感染症を予防するためのものが、成人用肺炎球菌ワクチンとなります。一度接種すると、5年以上は再接種する必要はありません。

しかし、口の中には500種類以上の細菌が常在し、肺炎球菌ワクチンは、そのうちのたった1種類である「肺炎球菌」にのみ効果がある予防接種だという点を理解しておく必要があります。つまり、肺炎球菌以外の499種類以上に及ぶ多種類の細菌が万が一、肺に入ってしまった場合は感染症を防ぎきれないのです。

肺炎球菌の予防接種は、もちろん有効ですが、それだけでは不十分。日頃の口腔ケアを並行して行うことで、肺炎を予防することができるのです。

口腔ケアって口の中の清掃のこと?

口腔ケア=歯磨きを念入りにすればOKと思われる方が多いと思います。ですが、歯ブラシによるブラッシングは、厳密には口腔ケアではなく、口腔清掃の一つの方法に過ぎません。

口の中の汚れは、歯についているものだけではないからです。 口腔ケアには、口の中の汚れを取り除く「器質的口腔ケア」と、噛む・飲み込む・話すなどの口の働きを保持するための「機能的口腔ケア」(※)があり、この両方を並行して行うことが理想的とされています。

つまり、機能訓練といわれる運動やマッサージを行うことも口腔ケアなのです。

 

※「機能的口腔ケア」は、専門的には「口腔と関連する大脳皮質、視床下部、脳幹部などを起点とする12脳神経が、口腔と関連する各部位へ伝達し、作用するその諸機能(例:歯、歯周組織、顎機能、口腔粘膜、舌機能、唾液腺、口腔周囲筋など)が何らかの原因で障害された場合、これらの機能が臨床的に再機能するような処置を行い、継続的に維持管理すること」(引用元:一世出版多職種協働チーム先制医療での口腔ケアFAQ50)とされています。

口腔ケアは清掃と運動が大事

口腔ケアの大切さを簡単に紹介しましたが、一番の目的は、肺炎の発症率を抑えることです。
肺炎球菌の予防接種を受けていても、

(1)誤嚥性肺炎になるリスクは避けらない。

(2)口腔ケアは、大きく「器質的口腔ケア(清掃)」と「機能的口腔ケア(運動)」に大別される

この2つの事実を覚えておいてください。
何度も繰り返しますが、口の中の汚れは、500種類・1mgの中に細菌が約10億個以上もの細菌から成り立っています。ブラッシングを行うことで細菌数を減らし、肺炎にかかりにくくなるメリットが生まれるのです。

次回は、口の中に常在する細菌について解説します。

 

【参考文献】

■ 厚生労働省:平成27年(2015)人口動態統計の年間推計より
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei15/index.html

■ 大阪大学歯学部付属病院HP
https://hospital.dent.osaka-u.ac.jp/diseases/diseases_000084.html

■ 肺炎予防.jp
http://www.haien-yobou.jp/?gclid=Cj0KEQjw1ee_BRD3hK6x993YzeoBEiQA5RH_BDGkvtlPMYVlbMKXNC0S0KHq0mne9q2nKKdScwi4GGkaAr5V8P8HAQ

■ 一世出版 多職種協働チーム先制医療での口腔ケアFAQ50

 

シリーズ全10回 リンク集

 

writer
ikegawayuko

【執筆・監修】
池川 裕子(いけがわ・ゆうこ)
医療法人社団活生会 安寿歯科 院長
松本歯科大学卒業後、神奈川歯科大学にて研修。都内の訪問歯科クリニック勤務後、安寿歯科の院長に就任。
多職種の方々に対し口腔ケアの重要性の理解を広めるため首都圏を中心に幅広く活動しています。

▶︎池川先生のインタビュー記事

▶︎医療法人社団活生会 安寿歯科のホームページ

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