口腔ケアの具体的な方法〜歯が残っている場合〜|在宅医療と口腔ケア(第7回)

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口腔ケアには「口腔清掃」と「機能訓練」があります。今回は「口腔清掃」について、具体的なケア方法を紹介いたします。口腔清掃とは簡単にいえば、口の中の汚れを除去する行為です。今回は、歯が多く残っている場合について説明します。

口腔ケアの道具は何を用意する?

基本的に、歯ブラシは必需品です。

さらに、フロス()、歯間ブラシ、口腔ケア専用のスポンジブラシを併用するとベストです。病室など歯磨きが洗面所で行えない場合は、コップと洗面器も必要になります。

あまりにも多くの汚れが口の中にある場合は、うがいを行ってください。うがいができない状態の方は、スポンジブラシなどで汚れをかきだしてから歯のブラッシングを行います。

「歯ブラシの形はどういったものを選べばいいのかわからない」という声をよく聞きます。

わからなければ、シンプルな形のものを選ぶようにしてください。手が動きにくい方などは、歯ブラシの毛先が大きいものを選ぶと良いでしょう。

口腔ケアのタイミングや回数

できれば、毎食後行ってください。

難しい場合は、一日一回でも構わないので入念に口腔清掃を行いましょう。一日一回の場合は、夕食後や就寝前など、夜のタイミングが理想的です。寝ている間に唾液量が減り、口の中の細菌が増殖しやすくなるからです。口腔清掃を行い、細菌の数を減らしておくことで誤嚥性肺炎を防ぐことにもつながります。

介助者が口を触ろうとして嫌がられた場合は、無理には行わず、30分ほど時間をあけてからもう一度声をかけたり、別の介助者の方と交替するなどして、繰り返しアプローチを試みてください。

理想的な歯ブラシなどのあて方

歯ブラシを使った清掃には、さまざまな方法があります。指導する医師や歯科衛生士によっても変わってくるでしょう。私がおすすめしているのは、「スクラビング法」と呼ばれる磨き方です。

まず、歯の面に対して垂直に歯ブラシをあてます。そして、小刻みに歯ブラシを動かし、小さい泡が立つようにします。その小さな泡が、歯と歯の間の汚れを押し出す役割を果たします。歯をブラッシングする際の力の強さは、熟れた桃の皮を優しくむく時のような力加減が理想的です。

歯と歯の間の汚れが取りきれない場合、歯肉が比較的引き締まっている人であれば、糸状のフロスを使用することをおすすめします。歯肉が下がってきて隙間が大きい場合は、歯間ブラシを使用してください。

粘膜の清掃方法は?

口の中の粘膜には、舌・頬・歯と唇の間、上あごの粘膜などがあります。歯ブラシで粘膜を清掃してしまうと、傷つけてしまうので注意しましょう。特に舌の場合、磨く順番として歯を磨いてから舌の清掃を行うと、歯ブラシに付着した汚れを舌にこすりつけてしまう可能性もあります。

粘膜を磨く際は、歯ブラシとは別に、スポンジブラシなどのやわらかいものを使用するのが好ましいでしょう。可能であれば、歯ブラシと粘膜を磨くスポンジブラシを別々に用意して併用することをおすすめします。

また、見落としやすいのが、上あごの粘膜、歯と頬の間の汚れです。暗い部分ですので、ライトなどを当てながら、目視できる状態でケアを行ってください。

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▲口の中の粘膜についた汚れ

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▲口から召し上がってない方の乾燥した痰

ポイントを押さえて、こまめな清掃を心がけましょう

歯がある程度残っている場合の口腔清掃は、歯ブラシを使用します。形状で迷う場合は、シンプルな形を選ぶようにしてください。さらに、デンタルフロス・歯間ブラシも併用すると清掃度がさらに向上します。
粘膜面には、スポンジブラシを使用します。清掃することが難しい場合は、無理に行わなくても構いません。一日一回どこかで重点的に清掃できる時間があれば大丈夫です。口の中は暗い部分なので、ライトなどを使用して汚れが残っていないか、きちんと確認しながらケアしてください。

 

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writer
ikegawayuko

【執筆・監修】
池川 裕子(いけがわ・ゆうこ)
医療法人社団活生会 安寿歯科 院長
松本歯科大学卒業後、神奈川歯科大学にて研修。都内の訪問歯科クリニック勤務後、安寿歯科の院長に就任。
多職種の方々に対し口腔ケアの重要性の理解を広めるため首都圏を中心に幅広く活動しています。

▶︎池川先生のインタビュー記事

▶︎医療法人社団活生会 安寿歯科のホームページ

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