ベテラン作業療法士が教える訪問リハビリの10の必需品|訪問リハビリの基礎知識

作業療法士は、作業や活動が持つ特性を活かしてリハビリをするのが得意です。病院の作業療法室にはリハビリに使う色々な道具や物品が用意されています。

けれども、訪問リハビリの場面では、病院の作業療法室に置いてあるようなものはありません。そこで、作業療法士は、必要なものを持ち運び、在宅の場にあるものを上手く活用してリハビリを行います。

作業療法士の訪問リハビリの必需品(1) メジャー

訪問リハビリでは、作業療法士が環境整備に関わる場面が多くあります。手すりを設置する際に玄関の上がりかまちの高さ、浴槽の高さ、段差の高さを。車椅子や歩行器を選択する際に、廊下の幅や本人の身体の大きさなどを測ります。

初回訪問時は必ず家屋環境をチェックするので外せないのですが、初回以外の時でもふと「この高さ、この長さを測りたい」と思う場面に遭遇することや、家族の方から手すりの設置についての相談を受けることが多々あり、その経験から、いつしかメジャーは必需品となりました。

作業療法士の訪問リハビリの必需品(2) 薄めのフェイスタオル数枚

訪問リハビリでは、作業療法士が関節可動域訓練や筋力増強訓練を行うことがよくありますが、痛みに対して敏感な方も多く、直接肌に触れるよりもタオルなどを一枚かませて触る方が、受け入れの良い方もいらっしゃいます。

患者様のお宅でお借りできる場合は良いですが、お借りできない場合用に何枚か薄めのフェイスタオルを用意しています。何枚かというのは感染防止のためで、患者様ごとに使うタオルを変えるからです。
もちろん、使用した後は職場で洗濯して清潔なタオルをいつも使用するようにしています。

作業療法士の訪問リハビリの必需品(3) ラップの芯

病院では、車椅子の麻痺側のブレーキに非麻痺側の手を届きやすくするためにラップの芯をはめている方も見かけますが、訪問リハビリでは上肢の体操に使用します。棒体操をイメージしていただければよいかと思います。ラップの芯そのままではいかにも廃材という感じで、体操するにもモチベーションが上がらないので、ラップの芯にきれいな柄の布を貼り付けています。

なかなか離床することが難しい方の準備体操として、寝たままの姿勢でラップの芯を両手に持ち、手の上げ下げや肘の曲げ伸ばし、前腕の回内外、手首を反らすなどの体操を行います。作業療法士とラップの芯の受け渡しをすることで「握るー離す」の動作や上肢のリーチ、バランスの練習にもなります。ラップの芯は軽さ、硬さ、手軽さが揃っているので使いやすく、持ち運びにも邪魔にならないので重宝します。

作業療法士の訪問リハビリの必需品(4) ボール

訪問リハビリでボールはとっても使えます。両手で持てるドッジボールぐらいの大きさの弾力のあるゴムボールがおすすめです。両手で投げる、キャッチするなどのレクリエーションや上肢の運動、両腿に挟んで下肢の筋力訓練などにも使用できます。
野球ボールぐらいの大きさの硬めのボールは、足の裏で転がして足の体操や足裏のマッサージ効果も得られます。表面がトゲトゲになっているボールは、手のひらや足の裏への感覚刺激にもなります。

作業療法士の訪問リハビリの必需品(5) お手玉・風船

病院の作業療法室にも必ずあるお手玉・風船は、訪問リハビリでも使用します。お手玉は高齢者の方にとって懐かしい遊び道具であり、活動性の低い患者様でもお手玉を手渡すと手が動き出す方もいらっしゃいます。
ベッドに腰かけて前に投げると、座位バランスの練習にもなります。つかんで箱に入れたり、机の上に置いたお手玉を手を滑らして落としたり、手に馴染みやすいお手玉は、手のリハビリに最適です。
風船も活動性の低い方の動きを促すには有効です。目の前に風船が飛んでくると反射的に手を出す方も多く、レクリエーションのひとつとして用います。

作業療法士の訪問リハビリの必需品(6) 折り紙

訪問リハビリの対象となるのは高齢者の方がほとんどです。折り紙は両手の細かい動きが必要になるので手のリハビリにもなりますし、出来上がりの形や次の工程を予想しながら行うので脳のリハビリにもなります。模倣ができるか、絵を見て同じ形が折れるかなど、認知面の評価にもなります。

○○しながらの効果を利用してコミュニケーションの手段にもなります。誰でも知っていて、一度は経験のあるものなので、技術がなくても導入しやすいという利点があり、作業療法士だけでなく、看護師さんもよく使われています。

作業療法士の訪問リハビリの必需品(7) 階段 

訪問リハビリでは、患者様の自宅がリハビリ室となります。段差昇降の練習をしたい時、実際に2階に上がる練習をしたい時、運動量を増やしたい時は、階段や玄関の段差などを利用して段差昇降の練習をします。実際に階段を上がることで、評価も行えますし、手すりがついていれば、手すりの評価も行えます。手すりがまだついていない場合は、どこにつけるのが良いかという検討も行えます。

上りはいいけれど、降りる時が難しいという方もいらっしゃるので、安全に降りられる方法の指導や介助が必要な場合は、家族やヘルパーさんなどの介助者に介助の指導を行うこともあります。

作業療法士の訪問リハビリの必需品(8) 手すり

訪問リハビリでは、手すりを平行棒代わりに使用できます。両手で持って膝の屈伸やステップの練習、椅子に座って手すりを持って立ち上がる練習、歩行練習など立位~歩行レベルの練習には欠かせません。

自分で歩行している方であれば、自主練習として手すりを持って行う立位の運動を指導することもあります。有効な場所に手すりが付いているからこそできることなので、手すりの位置が適切かを初めに評価しておく必要があります。

作業療法士の訪問リハビリの必需品(9) すべり止めマット・スポンジ

訪問リハビリの作業療法士は、食事に関わることもあります。高齢者の方は色々な理由で細かい指先の動きが難しくなるので、「食事ができない=スプーンがしっかり持てていない」ということもあります。即席でスプーンの柄にスポンジやすべり止めマットを巻いて柄を太くし、持ちやすくすることがあります。

これは、書く評価の時も応用でき、鉛筆が持ちにくそうな方には鉛筆ホルダーをつけてみます。持つところを太くするだけで解決できないときは他に問題となっているところがないかを評価します。

作業療法士の訪問リハビリの必需品(10) ベッド

訪問リハビリの場でベッドは最もよく使います。ベッドの上で体を動かすリハビリを行うことや、寝たきりの方ではベッドアップして状態を起こした状態で座れるように、寝返り、起き上がり、ベッドに腰かける、ベッドから立ち上がるなど、ベッドを拠点にした動作の練習を行うことが多いです。
ベッドから離れて生活するためには、まず、これらの動作が行えることが大切だからです。

1日のほとんどの時間をベッドで過ごす方もいらっしゃいますので褥瘡ができないようにマットの選定やポジショニングを行ったり、水分が自分で摂れるように、ポータブルトイレに一人で安全に移れるように、ベッド周りの環境を整えたりすることも作業療法士は行います。

訪問リハビリの作業療法士は荷物が多い!

訪問リハビリでの作業療法士の必需品を紹介しました。
他にも訪問に必須な聴診器、体温計、手指消毒薬、血圧計、パルスオキシメーター、時計、携帯、筆記用具、替えの靴下、雨具、ビニール袋などを持ち歩くので、作業療法士は鞄を2、3個持っていたり、大きい鞄を持っていたりします。在宅介護のスタッフで「すごい荷物だな」という人を見かけたら作業療法士かもしれませんね。

writer
maiko

リハビリテーション専門病院で5年勤務後、2人の出産育児を挟みながらデイケアに1年、訪問リハビリに5年従事。現在は3人目の育児中で現場から離れているが、育児が落ち着き次第、作業療法士として復帰予定。

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