作業療法士はリハビリテーションの専門職の一つです。在宅医療の分野では利用者様が自宅や地域で「自分らしい」生活を実現することができるように、「作業」に焦点を当てたアプローチを行うプロフェッショナルです。
様々な分野で今後さらに必要性が高まると予測される作業療法士。その資格とはどんな内容なのか、資格を取得するためにはどうしたらいいかについて、ご紹介いたします。
(2016年7月時点)
目次
「作業療法士」とはどんな資格?
作業療法士は「理学療法士および作業療法士」に基づく国家資格で、厚生労働大臣から免許を受けて、医師の指示のもとに「作業療法」を提供します。
作業療法士は、身体的・精神的な障害によって日常生活に何らかの支障が生じた方たちが、自分らしく生き生きと生活していけるように「作業療法」を通して支援を行います。
作業療法における「作業」とは、生活の中で必要とされる全ての活動のことを指し、食事や整容といった身の回りの動作から、社会活動に至るまで、生活全般が作業療法の対象となります。
作業療法士の資格を取得するためには
作業療法士になるためには、まず作業療法士養成校にて国家試験の受験資格を取得する必要があります。現在作業療法士の養成校には、4年制大学のほか、3年制の専門学校、4年制の専門学校といくつか種類がありますので、自分に合った学校を選択すると良いでしょう。
作業療法士の養成課程を修了すれば、作業療法士国家試験を受けることができるようになります。国家試験合格後、免許の登録が完了すれば、有資格者として正式に業務を行うことができるようになります。
気になる作業療法士国家試験の内容とは!?
作業療法士の国家試験は基本的には筆記試験で行われます。ただし、重度の視力障害がある方に関しては、一部口述・実地試験が行われる場合もあります。
筆記試験は一般的な医学知識を問う「一般問題」と、作業療法士としての専門性を問う「実地問題」の2種類があり、出題分野は以下の通りとなっています。
■ 一般問題
解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む。)、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法
■ 実地問題
運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法
一般問題を1問1点(158点満点)、実地問題を1問3点(120点満点)として、総得点で167点以上、実地問題で43点以上を満たした場合に合格となります。
作業療法士資格取得後の活躍分野
現在、作業療法士の活躍の場は、医療や保健福祉、教育など様々な分野へと広がりを見せています。それは、作業療法には対象となる方の生活そのものをサポートするという特徴があるからです。
最近では作業療法利用者の方のニーズも多様化してきており、病院や施設でのリハビリだけではなく、地域における在宅生活の支援、学校や職場との橋渡しなどを通じてQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を向上させ、その人らしい生き方を実現させる支援に注目が集まるようになってきました。
それに伴い、作業療法士の活躍分野もどんどんと拡大してきているというのが現状なのです。
今後も将来性の見込める資格、「作業療法士」
作業療法士の活躍の場は、現在も様々な分野へと広がりを見せています。
「その人らしい生活」を支援する作業療法は、人の生活の数だけ存在するとも言われますので、作業療法を必要とする方たちの多様なニーズに応えていくためには、今後も新しい分野を切り開き続けることが必要とされるでしょう。
国家資格に基づく高い専門性を活かしつつ、柔軟に時代に対応することができる「作業療法士」は将来性のある資格であるといえます。

総合病院の作業療法士として急性期、回復期、維持期、訪問の各分野で経験を積んできました。
育児のために昨年から現場を離れましたが、ゆくゆくは同じく作業療法士である夫とともに、地域に根差したリハビリに携わりたいと思っています。