訪問リハビリは作業療法士1人で行うことはできません。多くのスタッフが同時に関わることで利用者様に最善のアプローチを提供でき、利用者様の生活に変化をもたらすことができます。
今回は、作業療法士が特に連携を取るべき4つの他職種と、連携を取る意味やポイントを紹介していきます。
目次
ケアマネージャー|作業療法士が連携を取るべき他職種(1)
訪問リハビリを行う上で、最も連携が大切な職種がケアマネです。サービス全般のことを把握してくれており、他のサービス介入状況やそのときの様子などを把握することができます。
また、利用者様の精神的な状況、ご本人様とご家族様との関係、訪問リハビリを受けるようになった本当の経緯など、訪問リハビリのスタッフが知らないような情報をケアマネが知っていることもあります。
訪問リハビリのスタッフには話さないこともケアマネにはポロッと打ち明ける利用者様もいらっしゃるので、何か気になる様子があれば小まめにケアマネに連絡を取り何か情報を持っていないか、過去に似たようなことが無かったかなどを確認することは重要です。
看護師|作業療法士が連携を取るべき他職種(2)
訪問リハビリは病院でのリハビリと比べ、医師とコミュニケーションを取る機会が余り無く、医学的情報を得る機会が少なくなってしまいがちです。
また、実際の訪問中にセラピストのみでは体調の異変を判断しにくい場面や、危険な徴候を見極めることが難しい場面もあります。
そんな時に強い味方になってくれるのが訪問看護師です。特に心機能や呼吸状態に異変が感じられた際、バイタルが普段と異なる場合は注意が必要です。
普段、訪問看護師が介入していない場合でもご利用者さまの体調に異変が感じた時点で同事業所の看護師に相談し、臨時での訪問が必要なのかなどを確認することは事故や症状の重症化を予防する上で重要です。
理学療法士・言語聴覚士|作業療法士が連携を取るべき他職種(3)
作業療法士が連携を取るべき3つ目の職種は理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)です。訪問リハビリは事業所によってはスタッフ同士が顔を合わせる機会が非常に少なくリハ職同士の連携が不十分になってしまうこともあります。
特に嚥下状態に問題がある方の場合は、STとの連携を密に取ることは必須です。食事方法や食形態、ご家族様・ご本人様の嚥下状態に関する理解を共有し、食事指導をする上でもSTとの連携は欠かせません。
また、リハ職同士が利用者様の体調や心理面の変化、リハゴールをしっかりと共有し方向性を統一しておく必要があります。
そのためにも、各々が連携を取れるシステムを各事業所が構築しておくことが非常に重要です。
福祉機器業者|作業療法士が連携を取るべき他職種(4)
福祉機器業者と密に連携を取ることも、訪問リハビリの質を高め、利用者様の生活を安全・快適にするためには欠かせません。
福祉機器の位置が適切か、利用者様に合うより良い福祉機器は無いか、レンタルか購入か、価格面・今後の機能面を考慮してどちらの選択がベストかなどを福祉機器業者の方と話し合い、利用者様に提案することも訪問リハビリの大切な仕事の1つです。
特に本当のその福祉機器が必要か、最適な位置に設置ができているか、今の状態では別の方法で代用できないかなどを検討するのはセラピストの得意分野です。
ただ単に福祉機器を紹介するだけに留まらず、セラピストは様々な視点から物事を見て提案することも必要です。
他職種と作業療法士が連携を取り、リハビリサービスの質を高めることが重要
訪問リハビリの現場では、作業療法士1人では判断できないことや他職種と連携を取らないと得られない情報、行えないアプローチも存在します。
作業療法士1人で抱え込むのではなく、各職種の得意分野を活かし、情報を共有することで質の高い訪問リハビリに繋げることが重要です。

回復期のリハビリ病院で3年間の勤務の後、現在は訪問看護ステーションで働き地域でのリハビリを行っています。
「作業療法士の強みを活かしたリハビリとよりよい訪問看護の提案」について悩みながら日々リハビリを行っています。