訪問リハビリのヒヤリハット事例|実際の事例と覚えておくべき予防策8選

ヒヤリハットとは、事故には至らないものの、事故の一歩手前で「ヒヤリ」としたり、「ハッと」気付かされたりするような事例のことです。訪問リハビリの現場でも病院などと同じように様々なヒヤリハットが起こることがあります。

今回は訪問リハビリで実際に体験したヒヤリハットの事例、更にヒヤリハットを予防するために大切なことをご紹介していきます。

訪問リハビリのヒヤリハット事例(1)スタッフ間の伝達遅れによるミス

訪問によるサービスはお一人の利用者様に対して看護師やリハビリスタッフ、ヘルパーなど様々な人間が関わります。そして、訪問に入っているスタッフは適宜スタッフ間で必要な情報を共有しますが、伝達が遅れることによりミスが出てしまうこともあります。

実際にあった事例ですが、1日で看護・リハが2回介入する利用者様に対して看護の際にSpO2が低くリハビリでは本日は歩行訓練を控えるべきという判断がされました。

しかし、その連絡が遅れリハスタッフが知らずに歩行を行ってしまうというケースがありました。幸い大事に至ることはありませんでしたが、素早く必要な連絡を取るということは事故を予防するという観点でも非常に重要です。

訪問リハビリのヒヤリハット事例(2)他事業所への連絡遅れ

同一事業所から訪問している場合はスタッフ間で連絡を取りやすいですが、複数の事業所が介入している場合は連絡が取る機会が減り、必要な情報が共有されなかったという事例もあります。

特に利用者様の身体状況の変化を看護師に連絡しておくことは重要です。例えば、介入時に転倒などが起こった場合はしっかりと看護師へ連絡を行い、傷の状態や転倒状況を連絡する必要があります。

病院とは違い、身近に医師がいない訪問リハビリでは看護師の存在が大きく、怪我の処置や受診の判断などを行う手助けとなってくれます。その後のケアを徹底する為にも素早く正確な情報伝達は必ず行うべきものです。

訪問リハビリのヒヤリハット事例(3)転倒概念に関する曖昧さ

3つ目に多いヒヤリハットは「転倒」です。
病院では「明確な目的がなく手をついた時点で転倒」など非常に厳密に転倒の定義が定められている所も多いですが、訪問での転倒の定義は病院に比べて少し曖昧な面があり、実際は転倒に近い状況でも見逃されてしまうことがあります。

そこで、訪問リハビリスタッフは利用者様に対して本当に転倒のリスクがあるのかをしっかりと評価し、転倒リスクがある場合はどういった場面で転倒の可能性があるか、何に気をつける必要があるか、利用者様にとって転倒の定義は何かを明確にしておく必要があります。

そして、他スタッフ、ご家族様にもお伝えし、チーム全体で転倒予防に努める姿勢が必要です。

訪問リハビリのヒヤリハット事例(4)初回訪問時の対応ミス

訪問リハビリには「初回訪問時」にクレームやトラブルが発生するという事例が頻回に聞かれます。その理由の1つが事業所によっては契約を行うスタッフと実際に治療を行うスタッフが異なることです。

契約の時点で行った説明と実際に伺った担当者の意見が食い違っていると利用者様は不信感を感じられ信頼関係が築けないという事態にも陥りかねません。

これを防ぐために契約に行くスタッフは初回に訪問するスタッフに利用者様・ご家族様の特徴、ニーズなどをしっかりと伝える必要があります。スタッフ間で連携を取ることが利用者様の信頼を得ること、ヒヤリハット・トラブルの防止において非常に重要です。

訪問リハビリのヒヤリハット事例(5)車両関係のヒヤリハット

訪問リハビリで利用者様のご自宅へ伺う際、車を使って移動することがほとんどです。業務上、車の使用頻度が多いせいか、私自身も車両関係のヒヤリハットを何度か経験しています。

中でも一番焦ったのが、突然のパンクです。いつものように車で訪問先に向かっていると、急にハンドル操作が不安定になり、タイヤからおかしな音まで聞こえてきました。ひとまず車を安全な場所へ移してタイヤを確認すると、空気が抜けており、その状態で利用者様の元へ向かうのはとても無理そうでした。私は大慌てで事業所に連絡し、別の作業療法士を急遽利用者様のご自宅へ向かわせました。

なんとか利用者様の訪問リハビリに穴をあけずには済んだのですが、私自身は事業所の指示により、その場所で待機することに。結局、事業所の人が迎えに来てくれ、車はそのまま修理に出されることになりました。

その他にも、訪問先の近隣のパーキングが満車で車が停められなかったり、駐車スペースが狭すぎて車をぶつけそうになったりと、車関係のヒヤリハットが多いのは訪問リハビリならでは、でしょうか。

訪問リハビリのヒヤリハット事例(6)訪問リハビリ終了時 環境整備の確認不足

訪問リハビリの利用者様の中には、福祉用具であるエアマットを敷いて褥瘡予防をされている方もいます。
通常は空気によって体にかかる圧を自動調整して、柔らかい状態に保たれていますが、訪問リハビリで使用する場合、一時的にマットの圧を上げて「リハビリモード」に切り替えて訓練を行います。

リハビリモードで訓練を行い、訓練終了後にエアマットを通常モードに切り替えるのをすっかり忘れ、利用者宅を出てしまってことがありました。移動中に気付き、あわてて引き換えしてご家族に確認してもらいながらスイッチを切り替えさせていただきました。

利用者様は毎日介護サービスを利用されている方ばかりとは限りません。そのまま誰も気づかなかったら、褥瘡発生につながったかもしれません。終了後は、利用者さんの周辺環境の整備、確認をしっかり行って退室することが大切です。

訪問リハビリのヒヤリハット事例(7)福祉用具使用中あわや転落事故!?

立位を保つことが難しく、介助量も多い方がベッドから車いすへ乗り移る際、「スライディングボード」という福祉用具を用いることがあります。これは、滑りやすい板のようなものをベッドと車椅子の間に橋渡しし、お尻を滑らせるようにして乗り移りを援助する道具です。

ある日、スライディングボード上の利用者様のお尻を滑らせようとしたときに、急に利用者さんが前方にいる私にもたれかかり、そのはずみで臀部が前にずれ、危うく転落しそうになってしまいまいした。
病院や施設とは違い、周りに助けを求められない場面で転落事故に繋がりかねなかった事例でした。

訪問リハビリのヒヤリハット事例(8)連絡がつかない!利用者さんへの情報伝達ミス

訪問リハビリ利用予定の方の住所や電話番号などは、初回訪問時までに把握しておく必要があります。私が勤務していた事業所は病院に併設されていたため、入院時のカルテから自分たちで基本情報を集めることがほとんどでした。

ある時、体調不良で早退した同僚の代わりに、新規の利用者さんのご自宅に伺う機会がありました。事前に利用者さんに連絡しておこうと思い、カルテに記載されていた電話番号に電話をかけてみたのですが、その番号は使用されていないとのこと・・・。

訪問の予定時間も迫っていたので、そのままカルテに書かれた住所に向かったのですが、現地にそれらしい家はありません。担当のケアマネージャーに連絡してみると、住所や電話番号はカルテに記載されていたものとは全く異なるものだったのです。原因は病院のカルテの情報が更新されておらず、古い連絡先が残っていたことにありました。

それ以来、新規利用者の場合、担当者会議の際に必ずご本人とご家族に現在のお住まいや電話番号を確認するようマニュアル化することになりました。

<まとめ> ヒヤリハットの事例を共有して事故を防止!

重大な事故が発生する際には、その背後に多数のヒヤリハットが潜んでいると言われています。こうしたヒヤリハットの事例を共有し、内容を分析したり予防対策を立てたりすることで、事故やミスを未然に防ぐことにつながると思います。

利用者様をはじめ、他の職員や自分自身を守るためにも、ヒヤリハット事例を積極的に共有し、安全意識を高めていきましょう!

 

訪問リハビリの流れとは?|初回の利用者宅訪問を事例に解説します|訪問リハビリの基礎知識

2016.07.08

訪問リハビリの経験者なら必ず共感!訪問リハビリのヒヤリハット事例4選!

2016.08.19

【無料公開中】人気記事を資料にまとめました!

資料ダウンロード「感染予防」