福祉用具の選定における作業療法士の役割|福祉用具専門相談員との連携|訪問リハビリの基礎知識

訪問リハビリに携わる作業療法士は利用者様の生活をより快適に、安全なものにするためのリハビリを日々行っています。

利用者様の実生活に即した訪問リハビリの中では、適切な福祉用具を導入することによって、利用者様の日常生活の質が大幅に向上するケースも多く見られます。

在宅医療に携わる作業療法士は福祉用具の選定に関わる機会が数多くあります。

今回は福祉用具のプロである福祉用具専門相談員との連携を図りつつ、在宅生活において作業療法士の専門性を活かす関わりについて考えます。

(2016年10月時点)

作業療法士との違いは?福祉用具選定に関わる「福祉用具専門相談員」とは?|訪問リハの基礎知識

作業療法士は利用者様のリハビリを進める中で、日常生活全般にわたる活動の評価を行なっています。そのため、利用者様のより良い生活を実現していくために福祉用具の導入が効果的であると判断した場合、リハビリの一環として福祉用具の選定や提案を行うことがあります。

一方で福祉用具専門相談員は、主に介護保険分野で福祉用具に関する一連のサービスを提供する専門職のことを言います。
福祉用具の選定から利用計画、適合性の良否や定期点検など、福祉用具に関する一連の知識を備えた、「福祉用具のプロ」とも言うべき存在です。

いずれの職種にしても、日々進化し多様なバリエーションが存在する福祉用具の中から適切なものを選択していくためには、継続して知識を深めていくことが大切です。

近年では、利用者様の多様なニーズに対応するため、作業療法士が福祉用具専門員の資格を新たに取得するケースも増えています。

作業療法士は明確な目標設定に基づいた福祉用具の選定が得意

作業療法士がリハビリを行う場合、必ず多方面からの評価を行い、その評価に基づいた目標を設定しています。
リハビリの目標を達成し、利用者様の生活をより良いものにするために福祉用具が必要であると判断した場合、作業療法士は自ら福祉用具の選定を行うことが可能です。

作業療法士がリハビリの一環として福祉用具の選定を行う場合には、福祉用具に関するアセスメントを改めて行ないます。
例えば、利用者様やご家族のニーズ、身体的な機能と福祉用具の適合性、福祉用具の管理のしやすさ、福祉用具を用いることで生じるリスクの程度や有無など、多角的な評価を行い、利用者様にとって本当に必要な機能を持った福祉用具を検討します。

福祉用具を検討する際には、福祉用具専門相談員とお互いに情報交換を行ないながら利用者様にあった福祉用具の選定を行っていく場合もあります。

例えば、作業療法士がリハビリの評価をもとに、「このような福祉用具はありませんか?」と福祉用具専門相談員に相談すると、福祉用具専門相談員はその知識を活かして適切な福祉用具を提案する、といったように、お互いの得意分野を活かした協力体制を取っているケースは現場でも数多く見られています。

作業療法士の得意分野!選定後の適合調整で一人一人にあった福祉用具を提供

福祉用具を選定後、作業療法士は利用者様やご家族に対して、福祉用具使用に関する指導や評価を行います。
そうした中で、時には福祉用具と利用者様に不適合が生じることがあります。福祉用具は一般的な障害の程度を想定して作られているのに対して、利用者様の能力や状況は多種多様であるからです。

そんな時は作業療法士の本領発揮!利用者様の状況に合わせた適合調整を行なっていきます。
利用者様の能力に合わせて福祉用具を一部改良したり、場合によっては福祉用具のパーツをまるごと交換したりすることもあります。

簡単な適合調整であれば作業療法士だけでも行うことができますが、大掛かりなパーツの交換や改造が必要な場合はやはり福祉用具専門相談員の協力が必要となります。
福祉用具メーカーとの連携は福祉用具専門相談員の得意分野であるため、改良点の指示や技術提供の依頼など、様々な調整が可能となります。

こうした連携によって、より適合性の高い福祉用具を提供することで、利用者様が質の高い生活を送る手助けができるようになるのです。

選定のみにとどまらず、総合的なフォローを行うのも作業療法士の役目

福祉用具専門相談員との協力のもと、利用者様にとって適切な福祉用具が選定されたとしても、作業療法士の役割はそれだけで終わりではありません。

利用者様の能力は常に一定ではなく、日々変化していきますので、定期的にモニタリングが必要となります。
作業療法士は普段の関わりの中で利用者様の状況を把握し、福祉用具の微調整や変更、時には利用終了の判断などを行っていきます。

また、利用者様本人だけでなく、介護にあたるご家族等の状況や、住宅環境の変化など、様々な状況に合わせた総合的なフォローを行っていく必要があります。

そうしたフォローアップの最中には、福祉用具の借り換えや購入など、福祉用具の使用に変更が生じる場合、介護保険などの制度に基づいた変更が必要になる場合があります。
そんな時は福祉用具専門相談員に相談することで、スムーズな移行が可能となります。

専門性を活かす福祉用具選定は福祉用具専門相談員との連携がポイント

在宅領域に携わる作業療法士は福祉用具選定に関わる機会の多い職種の一つです。以前は作業療法士が福祉用具に関する一連のサービスを調整する場合もありましたが、近年ではより専門性の分化が進み、在宅分野においては福祉用具専門相談員が大きな役割を果たすようになってきました。

それぞれの専門性を活かして連携を進めていくことで、最適な福祉用具を提供し、利用者様により質の高い生活を送っていただくことが可能になると考えられます。

writer
minimix

総合病院の作業療法士として急性期、回復期、維持期、訪問の各分野で経験を積んできました。
育児のために昨年から現場を離れましたが、ゆくゆくは同じく作業療法士である夫とともに、地域に根差したリハビリに携わりたいと思っています。

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