訪問リハビリ(理学療法士)の対象となる主な疾患は?|訪問リハビリの基礎知識

訪問リハビリの対象となる疾患は「非常に様々」の一言に尽きます。年齢についても小児から100歳を超える高齢者が対象となります。主な疾患で最も多いのは脳血管疾患です。

また、訪問リハビリは生活期リハビリの一つとされているため、疾患に関わらず在宅での生活に問題を抱えている方が対象となります。

訪問リハビリの対象となる疾患や年齢は、とにかく幅が広い|訪問リハビリの基礎知識

訪問リハビリの対象となる疾患は非常に多岐にわたります。
その理由は、疾患が発症して入院した後は多くの方が在宅で再び過ごすためです。現在は介護保険サービスが普及して、寝たきりや終末期だとしても在宅で生活ができる時代になってきています。
つまり、どのような疾患でも在宅で生活している以上は訪問リハビリの対象となります。

また、訪問リハビリでは介護保険サービスの利用者である65歳以上の高齢者が多いですが、40~65歳の加齢に伴う特定の疾患の方や、医療保険での小児も対象となっています。日本の超高齢化社会に伴い、90歳を超える方も珍しくないです。

注: 訪問看護ステーションから理学療法士が訪問する場合と医療機関等から理学療法士が訪問する場合では、保険適応となる疾患は若干異なってきます。

最も多い疾患は「脳血管疾患」

日本理学療法士協会が平成25年度に全国の対象機関に実施したアンケート調査によると、訪問リハビリの対象となっている疾患は脳血管疾患が最も多く18.6%でした。

脳血管疾患の方は、身体の麻痺や高次脳機能障害が出現することで歩行や食事、トイレなどの生活に不可欠な動作(ADL)が困難になる場合が多いです。訪問リハビリで心身機能の練習やADL練習をすることで、身体の麻痺や高次脳機能障害があっても家族や利用者が安心して生活できることを目指します。
脳血管疾患の方は糖尿病や心疾患などを合併している場合もあります。そのため、リスク管理や生活指導、病態の考え方は複雑になりやすいです。

在宅生活に問題を抱えている人の全てが訪問リハビリの対象

訪問リハビリでは、疾患で捉える医学的な見解はもちろん不可欠ですが、人や家族が望む生活に近づけていくための社会的な背景を考慮した個別性の高い捉え方も重要になってきます。
単に治療や機能回復を目指すのではなく、生活全体が改善することを目指すので、在宅生活に問題を抱えている人の全てが対象といっても過言ではありません。

近年、高齢者の心身機能や生活機能が総合的に低下している状態「フレイル」と呼んでいます。フレイルに対するリハビリは期待されている領域でもあり、脳血管疾患や骨折などの具体的な疾患がなくても訪問リハビリの対象となります。

※フレイルとは
健康な状態と、要支援・要介護状態の中間を意味します。日本語に訳すると「虚弱」です。多くの方は、フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられていますが、高齢者においては特にフレイルが発症しやすいことがわかっています。高齢者が増えている現代社会において、フレイルに早く気付き、正しく介入(治療や予防)することが大切です。

看護分野の疾患に対する理学療法

訪問リハビリの対象には、看護分野における疾患も含まれます。
例えば、褥瘡の治療には薬や保護材などの訪問看護の処置に加えて、訪問リハビリで提案するポジショニングやシーティングが重要になります。

褥瘡以外には排泄障害や栄養障害などが挙げられます。従来では看護師や管理栄養士が専門にしていた領域でも運動療法の視点で理学療法士が関わることが増えています。特に、排泄障害では骨盤底筋や腹横筋などのコアマッスルを鍛える時に理学療法を活用しています。

時代のニーズに合わせて

訪問リハビリの対象となる疾患は?と尋ねられると一言では答え難いです。WHOが掲げたICF(国際生活機能分類)は医療や介護の臨床に普及してきました。それに伴い、リハビリテーションの考え方も疾患に限らず、生活にもっと目が向くようになっています。

在宅生活という個別性が高いフィールドで展開するリハビリは教科書通りに上手くいかない部分も多くありますが、どのような対象でもしっかりと対応できるように幅広い基礎医学や社会学などを知っていることは重要ですね。

<ライタープロフィール>
樹・Life
急性期・回復期の病院、整形外科の外来、通所リハビリの勤務経験があり、現在は訪問看護ステーションで理学療法士として働いています。
地域での介護予防事業や健康増進などの活動も行っております。

 

訪問リハビリのサービス内容と制度|訪問介護の基礎知識

2016.06.07

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