【レポート】東京ディズニーリゾートでの嚥下食対応についてのレポート

高齢者になると、噛む力の低下や、健康な歯が少なくなることにより、通常の食事を食べることが難しくなってきます。そんなときに導入されるのが、「きざみ食」、「ペースト食」など、食べやすく加工された嚥下食です。

今回は、ペースト食・きざみ食対応が可能なレストランとして「摂食嚥下関連医療資源マップ」で紹介されている、東京ディズニーリゾートのレストランを歯科医師である筆者が訪問。日本食、ファストフード、コース料理を提供する3種のレストランで、「きざみ食」、「ペースト食」を実際に注文してみました。事前予約が多い中、当日対応も可能とのことですが、実態はどのようなものなのでしょうか。注文の流れから、食事の味まで、当日の体験をレポートします。

(訪問日)
東京ディズニーランド:2018年11月19日(月)
東京ディズニーシー :2018年12月10日(月)

【日本食】れすとらん北齋(東京ディズニーランド/エリア:ワールドバザール)

こちらのレストランは、着席してから注文するスタイル。今回は、実際にテーブルに着席してから、ペースト食・きざみ食の相談を行いました。対応してくれたのは通常のキャストではなく食専門のキャストで、次の事項について確認を受けました。

キャストからの確認事項

  • きざみ食:大きさ(ただし、細かすぎるものについては対応できないとのこと)
  • ペースト食:ペーストの粘度や性状(もったり/蜂蜜状/つぶあり/つぶなしなど)
  • アレルギーの有無

今回注文したのはロースかつ膳です。次の3種類の形態を提供してもらいました。量が多いため、きざみ食についてはロースかつのみ、ペースト食についてはロースかつと付け合わせの葉物野菜、ポテトサラダを加工してもらいました。

食事の形態

  • 常食
  • きざみ食:
    ロースかつを1cm角に加工。
  • ペースト食:
    ロースかつ(もったり・粒あり)、葉物野菜、ポテトサラダの三種類をペースト状に加工。

料理を食べた感想

  • きざみ食:
    常食に近い形での提供で、味も変わりありませんでした。
  • ペースト食:
    食感が同じなので、食いつまる印象を受けます。

    (ロースかつ)味は常食と同じ、そのままの味がキープされていました。

    (葉物野菜)酸化によってグレーに近い色となっており、草っぽさが際立っている印象を受けました。

    (ポテトサラダ)かなりおいしく仕上がっていました。
ロースかつ膳(常食)
ロースかつ膳(ペースト食)

加工時間

当日注文した場合、1時間ほどかかるとのことですが、実際に待った時間は40分ほどでした。

【ファストフード】プラズマ・レイズ・ダイナー(東京ディズニーランド/エリア:トゥモローランド)

こちらのレストランは、一般的なファストフードレストランと同様、レジで注文と会計を済ませて、カウンターで料理を受け取る方式です。そのため、注文の際にペースト食、きざみ食の提供をお願いしました。先ほどご紹介した「れすとらん北齋」と同じく、食専門のキャストにペースト食ときざみ食についての希望をお伝えしました。

こちらのレストランで注文したのは、ハンバーグライスボウルです。次の形態を注文しました。

食事の形態

  • 常食
  • きざみ食:
    通常は、全ての料理を一皿にまとめた、いわゆる「どんぶり」の形態で提供されますが、今回はハンバーグ、野菜、ソース、ごはん、チーズに分けて提供してもらいました。ハンバーグ、野菜については1cm角に加工。
  • ペースト食:
    ハンバーグ、ソース、野菜、ごはんを分けてペースト状に加工。チーズについては、既に小さく刻まれていたので、そのまま提供してもらいました。
ハンバーグライスボウル (きざみ食)
ペースト食(ハンバーグ)
ペースト食(野菜)
星形の小さなチーズ

食べた感想

  • きざみ食:
    常食に近い形での提供で、味も常食と変わりありませんでした。
  • ペースト食:
    (ハンバーグ)常食と同様に、別に提供していただいたソースで味付けされていたため、常食と変わらない味となっていました。

加工時間

加工に1時間程度かかるかもしれないとの説明を受けましたが、比較的空いている時間帯に注文したため、10分ほどで提供されました。

【コース料理】S.S.コロンビア・ダイニングルーム(東京ディズニーシー/エリア:アメリカンウォーターフロント)

こちらは、コース料理のみを提供するレストランです。

訪問2日前に公式窓口に電話予約したところ、レストランと直接やりとりをするようお願いされたため、当日お店に相談しました。その結果、準備に時間がかかるとのことで、2時間30分後に再来店するようお願いされました。

なお、対応可能な時間については、きざみ食、ペースト食の準備と加工ができるシェフの出勤時間によって決まるとのことです。

今回注文したのは、スペシャルセットで、コースの内容は次の通りとなります。こちらも、常食、きざみ食、ペースト食の3種類を提供してもらいました。

コース内容

  • 前菜:
    アペタイザーの盛り合わせ(ビーフリエット、スモークサーモン、ホタテ貝、黒あわび茸、トマトコンソメジュレ)
  • メインディッシュ:
    ローストビーフとオマールエビのオーブン焼き(マディラソース、カレー風味のブールブランソース)
  • パン
  • デザート:
    グラスデザート(チョコレートブラウニー、ピスタチオクリームミックスベリートライフル)

食事の形態

  • 常食
  • きざみ食:
    前菜とメインディッシュを加工(パンについては、手でちぎって食べることが可能なため、きざみ食の注文はなし)。
  • ペースト食:
    全ての料理(前菜、メインディッシュ、パン、デザート)を加工。
きざみ食(前菜)

食べた感想

  • きざみ食:
    前菜、メインディッシュのどちらも常食とほぼ変わらない状態でした。
  • ペースト食:
    (パン)2種類あったため、1種類ずつ加工してもらいました。
    一つ目はかなり詰まっており、スプーンですくってひっくり返してもそのまま落ちない、固い状態でした。味については、少しモサモサとしている感じです。二つ目はもったりとしたトロミがついており、スプーンですくうとゆっくりと垂れてきました。味については、パンがゆと同じ印象。べたついていたので、もう少しトロミをつけたものを頼んでもよかったかもしれません。

    (前菜)緑色のスープ状。味はとてもおいしかったです。個人的には、ドレッシングの味が強く出ていたように感じました。

    (メインディッシュ)お肉、エビ、グラタン、野菜の4種類に分けて提供してもらいました。
    お肉に関しては、スプーンですくって逆さまにしても落ちてこない、固い状態です。ローストビーフの味はするのですが、塩味が薄い印象を受けました。エビ、グラタンは、しっかりとした味を感じました。野菜については、野菜本来の味がしておいしかったです。

    (デザート)2種類ともムース状で、スプーンですくうとやや落ちる程度の固さです。甘いものに関しては、料理よりもしっかりと味がわかり、おいしく感じました。

加工時間

指定された時間に再度伺ったところ、ほとんど待つことなく食事が提供されました。

注意事項

当日の対応も可能ですが、なるべく事前に連絡いただいた方が良いとのことです。きざみ食・ペースト食を希望する場合は、最低でも10日前に公式窓口に電話で問い合わせをすると、当日スムーズに入店することが可能です。

なお、刺身などの生ものについては、包丁で細かく切るほど細菌の数が増えてしまうため、対応不可とのことです。

まとめ

今回訪問したいずれのレストランでも、当日の注文でペースト食、きざみ食の両方に対応していただくことができました。ただし、通常の注文とは異なるため、対応に時間がかかるほか、加工できるシェフも限られます。そのため、事前に申し込みをすることをおすすめします。

味については、きざみ食については大きさを全て1cm角としたため、常食との違いをあまり感じませんでしたが、ペースト食となると味に違いが出てきます。同じ分量でも薄味に感じる料理もあり、食感の違いや、食材の舌への当たり方によっても、味が大きく変化することを実感しました。

参考文献など

writer
ikegawayuko

【執筆・監修】
池川 裕子(いけがわ・ゆうこ)

出張歯科四つ木 院長

松本歯科大学卒業後、神奈川歯科大学にて研修。都内の訪問歯科クリニックでの勤務を経て、出張歯科四つ木の院長に就任。
多職種の方々に対し口腔ケアの重要性の理解を広めるため首都圏を中心に幅広く活動しています。

▶︎池川先生のインタビュー記事

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